◇あいことば２ ページ38
・
「目黒だっけ、古典で3年間95点以下取ったことないバケモノ」
「バケモノってなによ(笑)」
「この前、現国で満点取ったんだろ？バケモンじゃん」
「模範解答解ったんだよね」
・
笑いながら半紙を違う机に移動させて、彼女は新しい紙をセッティングしはじめた。
・
「さっきの歌はどういう意味なの？バケモン」
「昨日までは命と引き換えにしても会いたいと思っていたけれど
念願叶ってあなたと会った今日は、命が惜しくなっています」
・
半紙の横に置いてある詩集は、既に違うページを開いていた
・
「…すげぇな」
「好きなだけ」
・
彼女と仲良くなった冬
それから、よくここで2人になることが多かった。
・
「ニノちゃんって、結婚してるんでしょ？」
「そうだね」
「既婚者なのに女子高生にモテるとか罰当るよ」
「勝手に好いてるのおまえらじゃん？俺悪くない」
「顔がいい人のいい訳だわ」
・
目黒は、いわゆる秀才兼備で
あの子ほどではないけれど、校内でひと目置かれる容姿をしていた
それでも同等に目立っているのは、きっとこの頭の良さだろう。
書道も並じゃなくて、コンクールに応募しては賞をかっ攫っていた。
・
「一度くらいないの？すっごい美少女と出会っちゃっていけないことしたとか」
「….。」
「ニノちゃんなら許されると思うよ。なんとなく」
「….」
「え？」
「…..」
「あるの？うそ？！」
・
死んでも教えないと決めていた心の底
目黒にも教えないと言い張って、いつの間にか季節は流れて行った。
・
誰にも、あの子にも、言えなかった本当のこと
それを思わず口にしてしまったのは
・
「卒業式サボるバカがどこにいんだよ」
「ここ」
「名前呼ばれるの知ってる？おまえのときシーンってするんだよ？わかる？」
「今日ね、妹の卒業式と被ってるから親来てないの。バレないって」
・
卒業式の当日まで、墨の匂いが染み付いた書道室で
この子が和歌を書いていたから。
その歌が、あまりにも
あの子に伝えたかった、内容だったから。
・
「ね、最後じゃん？今日で」
「おう」
「誰にも言わないから、ニノちゃんの秘密教えてよ」
「….。」
「昔、なにがあったの？」
・
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
