◇あいことば１ 番外編 （3/31）new ページ37
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ふざけんなって思ったのが、最初の印象。
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「私、ニノちゃんのこと嫌いじゃないよ」
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次に思ったのが、あの子に似てるということ。
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「でも、余計なこと言わないでもらえるかな？」
「目黒がいけないんだろ。こんな時間に部活していいと思ってるの？」
「書きたいの。許して」
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新しく赴任した高校で、書道部の副顧問になった時点で終わった！って思っていた
部活の希望を出してなかった俺がいけないのが全てだけど、野球をやってたって校長には伝えたし。ましてや教科担当は数学だし
まさか、書道部になるなんて…。
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案の定、部活にはほとんど顔を出さなかった。
だから部員が何人いるかも知らない。
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彼女を見つけたのは、もうとっくに三年生は引退した冬だった。
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5時間目の最中の学校。廊下はとにかく静かで
6時間目も空きコマだから、もう帰りたいなーとか思っていたとき
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『昨日まで逢うにしかへばと思いしを今朝は命の惜しくもなるかな』
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誰も居ないはずの書道室から声が聞こえた。
誰だよ。
少しだけ空いていたドアから中を覗く。
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黒い髪が、揺れた
白い頬を隠すように翳ったそれを、耳に掛けて覗いた白い頬
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時が、止まった。
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「….ニノちゃん？なにしてんの」
「えっ…あぁ」
「覗き見？趣味悪いね」
「…おまえこそ、こんな時間になにしてんだよ」
「部活に一度も顔を出さなかった顧問に言われたくないですー」
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自分が何分固まっていたのか分からなくて、冷や汗をかく
そこで初めて、彼女が元部長の目黒だと理解した。
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「おまえ、もう引退しただろ。なに部活の使ってるんだよ」
「だから一度も顔を出さなかった顧問にそんなこと言う権利はありません」
「目黒」
「怒らないでよ。」
・
教室の中は、ストーブを勝手に炊いているらしく温かかった。
適当なイスに座って、彼女の書いた書を見る
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「….なんて書いてあんの？」
「行書読めないの？」
「マジモン過ぎて読めないわ」
「マジモンとか(笑)もっとちゃんとした言葉遣いなよ」
・
藤原頼忠だよ、と言われて
やっと、彼女がさっき口にしていた呪文みたいな言葉を書いたんだと理解した。
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
