癖のある文字 ページ35
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それから、何年か経った。
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潤くんが大学を卒業して就職するタイミングで、あたしも大野さんのお店を辞めて
児童館と図書館が隣接している施設で働くようになった。
そこを選んだ理由は、きっと二宮さんの影響だ。
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小さい子が、怖いおとぎ話を読まないように。
人魚姫は、泡にならず王子様と幸せになるって…思っていられるように。
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朝は児童館を掃除して、図書館で働く年配の人の代わりのパソコン業務をこなして
館に遊びに来た小さい子とお母さんに向けて、読み聞かせや紙芝居をする。
小学校が終わる時間が近づくと、児童館に来る子たちのためにおやつを用意して
けん玉をしたり、宿題を手伝ってあげる。
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毎日、家に帰るのは遅くなるけれど
そんな生活が楽しかった、ある日だった。
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「今日さ、櫻井先生と会ったんだよね」
「え、懐かしいね。何年ぶり？」
「2年？あー、もう3年になるかな」
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ネクタイを緩めた潤くんが、目を伏せながら言う
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「これ、Aに渡してくれって」
「….なに？」
「さあ？」
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渡されたのは、紅葉が描かれた封筒だった
….それに、まさかと思った。
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震える指で封を開けたら
懐かしい、癖のある文字が目に入る
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Aへ
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
