信じてあげる。 ページ4
・
桃のゼリーを突いていた手が、止まった。
・
「….え」
「明日は無理だから、土日かな」
「いきなりですね」
「ずっとここにいても埒があかないでしょ。気分転換させてやるよ」
「本気で言ってますか？」
「だから、俺がいつ本気じゃなかった？」
「いつもそうでしたよ」
「そうだよなー(笑)」
・
ビールを一気に流し込んで、二宮さんは楽しそうに続ける
・
「もしあれだったら明日、家戻ったら？」
「え？」
「彼氏だって学校だろ。昼間戻ってキャリーの中身も入れ替えて来たらいいじゃん」
「鍵持ってないですよ？」
「管理人に言えばいいだろ。オートロックしちゃいましたーって」
・
流されているのは分かってるけど、それが心地よかった
・
「二宮さんは学校ですか？」
「そうだね。週末だからちょっと忙しいかも」
「….そうですか」
「待っててね。ここで逃げられたら本当に元も子もない」
「ネックレス、返してくれない限りはどこにも行けません」
・
あー、そういえばそうだった。って笑うけど
そんな軽いことじゃないから笑えなかった。
・
「そんなに大事なの？あのネックレス」
「大事ですよ」
「俺の記憶が正しければスッゲー安かったと思うんだけど」
「値段じゃないですよ、二宮さんから貰ったから…」
・
言葉にしたら恥ずかしくて、顔を伏せる。
照れ隠しにゼリーを口に入れた
・
「ちゃんと返してあげるから、逃げるなよ」
・
その言葉に頷いたら、本当に後戻りする道がなくなった気がした
傍にいるのに、何も分からない
そのもどかしさの中で後戻りできないなんて、不安しか心にないけれど
あなたを、信じることに決めた。
・
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
