幸せの種 ページ26
・
二宮さんの瞳が、一瞬大きく開いて
すぐに元に戻った。
・
「潤くんと、ちゃんと話さないといけないんです」
「….。」
「なんで花依ちゃんに妬いたのか、ずっと分からなかったんです」
「うん」
「でも、それの答えが分かったんです」
・
あたしに潤くんがくれる感情は「好き」
花依ちゃんに与えた感情は「愛」だった。
・
二宮さんからは、出会ったときからずっとずっと愛をもらっていた
だから、花依ちゃんといる二宮さんに妬いたりしなかった
・
好きよりも安定していて、壊れることが永遠にないと勘違いできる愛をくれていた二宮さんに
ずっとずっと縋っていた自分がいた
だけど、もしも潤くんがその感情をあたしにくれたら
もう、二宮さんを忘れられる気がした
・
きっと、愛したら愛した分だけの愛をくれる
二宮さんにその感情を教えてもらって、無意識に同じものを返してたあたしのように
潤くんだって、きっと。
・
「….それが、Aの選ぶ道なの？」
・
「二宮さんは、花依ちゃんに人魚姫は泡になって消えたりしないって
教える義務があります」
・
あたしは、二宮さんに教えて貰った愛しい気持ちを
潤くんに教えてあげる
二宮さんは、花依ちゃんに
幸せなおとぎ話と、その先にある愛のおはなしを教えてあげる。
・
いつか菫さんに教えて貰った物語を思い出す
ひとりきりでは、天国に入れないから運命の人を捜すおはなし。
もしかしたら、その扉を一緒に開けるのは二宮さんかもしれない
でも、この世界で、この時代に、この体と心で幸せになるのは
二宮さんとじゃないと、感じた。
・
「….そっか」
・
その瞬間
あなたが、小さく笑った瞬間
苦しくて、楽しくて、嬉しくて、悲しい
長くて長くて長い、あたしと二宮さんの夢物語が終わった。
・
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moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
