あなたの瞳の夜 ページ14
・
自分の中で、どっちがいいとか悪いとか
そういう感情はもうなくて
・
じゃあ、どうすればいいの？って何度も何度も同じ道を迂回していた。
・
どうせ、どんな道を選んでも悲しいと嬉しいが着いてくる。
一生、そういう感情からは逃れられない。
でも、どうせなら嬉しいことがいっぱい起きる方がいいなって思ってしまうのは仕方がないこと。
・
久しぶりにゆっくりお風呂に入って、ちゃんとドライヤーで髪も乾かせて
機嫌良く部屋に戻ったら、二宮さんは貸し出しの浴衣を着ていた。
窓辺で床に胡座をかいてビールを空けている。
・
「お風呂行ったんですか？」
「気持ちよかった。ビールが超うまい」
「よかったですね(笑)」
・
簡易的な冷蔵庫から、飲みかけの紅茶をだして一口飲む
ついでに、その冷たいペットボトルを頬に当てた。
・
「….まだ痛いの？」
「温かくなると…」
「そっか」
・
腫れも引けて、色も化粧でどうにか出来るくらいになって
湿布をしなくても大丈夫なくらい回復した
・
「でもやっぱ色悪いね」
「化粧しないとちょっと痛々しいですよね」
・
二宮さんの隣に座って、窓の外を見上げる
星が輝いてるのは分かるけど、流れ星なんて流れる気配すらなかった。
・
「梨田はさ」
「はい」
「幸せだった？」
「….なにがですか？」
・
俺といて
・
虚ろに空を見上げる、茶色の瞳が言う
・
「何度も言わせないでください」
「….」
「もし辛かったら、二宮さんのこと探したりしませんよ」
・
瞳が、あたしを映す
・
「二宮さんは、幸せでしたか？」
・
あなたは、答えをくれなかった。
・
ビールを置いて、左手がゆっくり伸びてきて
あたしの頭に触れた
・
そのまま引き寄せられて、少しだけ前のめりになって、紅茶の入ったペットボトルが
音を立てて倒れた
・
その音が、二宮さんのくちびるがあたしのくちびるに触れている状況を
現実だって、教えてくれた。
・
「….どうして、こんなことするんだろうな」
・
左頬に手を当てて、あなたが言う
・
その手に自分の手を重ねたら
あなたの瞳に夜が来て
あたしの時間に魔法がかかった
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moma(プロフ) - 最後思わず泣いてしまいました。とても素敵なお話ですね。お疲れ様でした。 (2019年10月6日 12時) (
レス) id: 48200bde74 (このIDを非表示/違反報告)
おおみやえすけー - なんというか、プロです！想定外の終わり方！感動しました。いいお話でした！ (2018年5月27日 13時) (レス) id: 3c6cfab666 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。今更ながら作品を読ませて頂きました。もう胸が苦しくて切なくて…。特に二宮さんのお返事には何度も何度も号泣してしまいました。この作品はずっと心に残っていくと思います。本当に好きな作品です。ありがとうございました。 (2017年12月31日 5時) (レス) id: 1b3c0cf73c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - とても面白かったです！ (2017年9月19日 2時) (レス) id: 40edc2cacc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけてシリーズの最初の作品を読んだら時間なんて忘れてモヤモヤしながら夢中で読ませて頂きました。ほんとに鳥肌が立つくらい良い作品でした、読み終わった時の感情は言葉に出来ないですけどこの作品に出逢えてよかったです(*´ω｀*) (2017年6月23日 10時) (レス) id: d8eea5bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：.
| 作成日時：2017年3月4日 22時
