視線126 ページ32
カルマ「Aちゃん、大丈夫?」
拓兄から兄さんの状態の説明を受けて、とりあえず皆家に帰った。
翌日学校に向かっても、授業を聞く気にはまるでなれなかった。
『大丈夫』
皆が私を心配しているのは分かるけど、私は一人になりたくて。いつだったかプライベートスペースにしたいと思った校舎の屋根を、みんなの目を盗んで登った。
カルマだけはずっと隣に居るけど。
『私、兄さんがどこまで考えて、どんな覚悟で私を守ってくれたかなんて考えたこともなかった』
あの日、私は両親を殺したことで事件が解決した気でいた。でも兄さんはその後の私の人生まで心配していた。
両親が死んだことにより組織はきっと私や兄さんをその穴埋めとして引き入れようとする。きっと逃げても無駄だと兄さんは察した。
だから兄さんは、自分が言いなりになる代わりに私の組織内での立場を確保しろと取引した。殺し屋として生きるかどうかは、私の選択に託して。そしてその時の保証人が拓兄だったらしい。
兄さんは代わりに私を守ってくれと拓兄に依頼した。そして決してそのことを悟らせないことも。
組織に囚われた兄さんは、最良の実験体物件としていまの研究所に送られた。その結果、兄さんは特殊な装置なしでは生きられない植物人間になってしまったと、拓兄は説明した。
今思えば、拓兄は本当に忠実に兄さんとの約束を守っていた。
私に関係ない任務ばかりを与え、私が日本に来たことすらタコ暗殺の件が初めてだった。
『私てっきり拓兄が裏切ったんだと思って、撃っちゃった、麻酔銃。本当はずっと、私を守ってくれてたのに、、、』
私はダメだ。
ずっと一人で生きて居るつもりで、本当はずっと守られてた。そのことに気付きもしなかった。
『本当は両親のこともちっとも憎んでないんだ。だって、あの時厳しく教えてくれたから私は殺し屋として生きてこれたし、実際11歳までちゃんと育ててくれたし』
道具と思われていても、それは仕方ないと思う。
それが私たちのあの家での存在意義だったから。
『なのに結局殺しちゃった。殺さずに気絶させることだってできたはずなのに』
知らなかったんだ。殺す以外の力の使い方を。
あの時、守るために力を使った兄さんとは全く違う。
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秋田の肋骨 - これ読みながら「ヌルふふふふ」って声が漏れてて、「なにアンタ殺せんせーじゃあるまいし、、、」って親に呆れられました笑 そんぐらい面白いです!!! (8月12日 18時) (レス) @page46 id: 93fef38cdf (このIDを非表示/違反報告)
Reload(プロフ) - コメントありがとうございます!その発想はありませんでした!夢主が事件を解決!?ってのも面白いかも(笑) (2021年3月9日 12時) (レス) id: 1005ca89d9 (このIDを非表示/違反報告)
もち - ほんとごめんなさい、カルマの女が科捜研の女と重なってずっと笑ってましたwww (2021年3月7日 15時) (レス) id: 54667db88c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Reload | 作成日時:2020年4月29日 14時