お前と俺のヘヴィーな日常 Ⅲ【蛇山チアキ】【原作無関係】 (ページ4)

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”記憶の間“　不穏と不安とページ4

…また結構な時間が過ぎ、今度の場面は華やかな会場に移っている。
どうやら誰かの誕生日を祝っている様だが、当人は居ない。
恐らく、義妹である魅姫の誕生日パーティーなのだろう。
壁際へ身を潜めた狂子は光の消えた目で、形だけの会場を見つめていた。
(さっさと終わってくれないかしら)
そう内心で呟く狂子の手には、小さくラッピングされた箱があった。

数時間後。
狂子は欠席していた魅姫の為の配膳とプレゼントを持ち、廊下を歩いていると。
　「あら狂子ちゃん、何してるの？」
実母に声を掛けられた。
『ちょっと、魅姫さんに用事があって…』
　「あぁあの子ね…病気で長年苦しんでるあの子」
声色は痛ましそうだが、何処となく不機嫌そうな顔をしている。
その姿に狂子は疑問を抱いていたが、深くは考えなかった。
ふと腕を掴まれてバランスを崩し掛けた。
　「…ねぇそれ、狂子ちゃんじゃなくても他の人に渡せばいいんじゃないの？」
『い、いえ…私が持って行くので』
平坦な声に少し怯えながらも、狂子は自ら持って行くと言った。
一瞬表情が無くなった後、にっこりと微笑み
　「あらそう。なら私も着いていくわね」
そう言われて、思わず狂子は顔が強張った。

もしかしたら義妹に何かしかねないかも知れない。

　「…狂子ちゃん？どうしたの？」
『…いえ、何でもないです』
とは考えたものの、あくまで自分自身の予想でしか無い。
少しくらいなら大丈夫だろう。

だが、違った。
実際は全く大丈夫でも、安全でも無い。
狂子はあの惨劇を忘れていたが故に気付けなかった。