裏路地にて ページ2
草木も眠る丑三つ時。
下弦の月は雲がかかり、暗い路地裏を照らすものはない。
鉄パイプが剥き出しの路地裏に、タタタッという足音が響いた。
その音を追いかける影が一つ。
「っひ!」
がだんっと追われる者が壁にぶつかった。
衝撃により、壊れかけた街灯が弱々しく光った。
それに照らされ追われていた者の顔はまさに鬼、だった。
髪から覗くツノ。口からはみ出た牙。猫のような縦長の瞳孔。目に当てた手の爪は鋭く長い。
牙からはポタリ、ポタリと赤い滴が垂れていた。
鬼は肩ではぁはぁと息をしている。
鬼は血走った目で挙動不審に辺りを見回した。
ひいっと乾いた声が鬼の喉から漏れる。
「もー今回はすぐ終わるって言ったじゃん。宇髄さんの嘘つき。」
ぽそっと誰かの呟いた声が暗がりからきこえた。
鬼はそちらをみて、また喉を震わせた。
暗がりから現れたのは少年。
まだ十五か十六ぐらいであろう少年は、左腰に刀を携えていた。
しかし、それを抜くことなく何も持たない右手を鬼に向けかざす。
鬼は逃げだそうと、震える足を鞭打とうとするが動いたら死ぬ、と本能が告げており、動けない。
「面倒だし、やっぱ気絶してもらうか。」
バチン!!
暗闇に閃光が走った。
シューーと焦げるような音を出して、鬼は倒れた。
少年はパンパンと手をはたくと倒れた鬼に近寄り、一瞬で頸を落とした。
「任務完了。」
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作者名:永谷零那 | 作成日時:2020年4月7日 14時