【地獄先生ぬ〜べ〜】孤独な陰陽師 番外編2

成仏 ページ33

立野君の病室を出て、私と鵺野先生は稲葉さんに詰め寄られた



郷子「ぬ〜べ〜！神音さん！お願い、広を助けて！このままじゃ、広が死んじゃうわ！」

郷子「霊能力で広を連れ戻して！」

郷子「死にかけた人は“三途の川”に行くんでしょ！？そこへ行けば…！」



神音「稲葉さん、無茶を言わないで」


稲葉さんの気持ちはわかる
けど、稲葉さんの言ってることは無理だわ



神音「三途の川は、日本人の独自の死生観が作り出した精神世界なのよ…実際に川があるわけじゃないの」

神音「おそらく霊界の入口の一部に川に似た場所があるんだろうけど…」

神音「それがどこにあるのかは、私だけじゃなく鵺野先生にも分からないわ」



そう説明しても、稲葉さんは諦めずに私達に詰め寄ったわ



郷子「そんなのおかしいよ！いつも霊を成仏させて霊界へ連れて行ってるくせに！」

郷子「霊界がどこにあるか分からないなんて！」



鵺野「そりゃ霊は成仏すれば自動的に霊界へ行くから…成仏すれば！？」
神音「っ…まさか、鵺野先生！？」
鵺野「あぁ！広を助けるには、これしか方法がないっ！」


そう言って鵺野先生は、私達を急いで遺体安置所へ移ったわ










ー遺体安置所ー


鵺野「よし、ここなら誰も来ないだろう」
郷子「な、何をするの？こんなところで…」
神音「鵺野先生、三途の川には“脱衣ババア”がいます。お気をつけて」
鵺野「あぁ、わかってる」


1人置いてけぼりになってる稲葉さんに、私はこれからすることを説明することにしたわ


神音「今から鵺野先生は、鬼の手と一緒に幽体離脱するのよ」
郷子「幽体離脱って、まさか！？」



鵺野「宇宙天地 與我力量 降伏群魔 迎来曙光…」

鵺野「白衣観音の力によりて！」





鵺野「鵺野鳴介の魂を成仏させ給え！！」





郷子「自分で自分の霊体を掴み出して…あの世へ！？」


後は、鵺野先生に任せるしかないわ


郷子「だ、大丈夫だよね？ぬ〜べ〜、戻ってくるよね？」
神音「鵺野先生が立野君を見つけ出し、一緒に連れ戻ってくるのを待つしかないわ」


どれくらいかかるか分からないけど、待つしかないわ





そう思ったのも束の間…意外と鵺野先生は早く戻ってきたわ
そして急いで立野君の病室へ行くと、立野君も目覚めていたわ


神音「間に合って良かったわ」


本来、死に向かってる人を無理矢理 連れ戻すことは駄目なのだろうけど…まぁ、たまには良いことにしましょう

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