【地獄先生ぬ〜べ〜】孤独な陰陽師 番外編2

人面犬の記憶 ページ31

私の話を聞き、立野君達は納得したわ


広「じゃ…こいつ、前世は悪人だったのか」
神音「えぇ 新聞で最近亡くなった人を調べたら、ここに行き当たったのよ」
鵺野「うむ…かすかだが、前世での記憶が残っているな」


鵺野先生は鬼の手を使って“人面犬”の記憶を教えてくれたわ



鵺野「こいつはここで、悪徳金貸しをやっていた」

鵺野「こいつの所為で自 殺した人、家や財産を失った人が大勢いる」

鵺野「最後は客に恨まれて刺し殺されたが、悪人の末路など惨めなものだな」



えぇ…こんな姿になったのも、仕方ないわ


郷子「で…どうするの、やっぱり100万円もらうの」
広「追い詰めたのは俺らなんだからさ〜。半分くらいくれてもよくない？」
鵺野「いや」


鵺野先生は網から“人面犬”を解放したわ


鵺野「さあ行け、2度と人間に見つかるな」
広「逃しちゃうの！？」
鵺野「こいつは確かに悪人だった。しかしもう十分 罰を受けているからな」


えぇ…そうね
“人面犬”は泣きながら、去って行ったわ










私達は金融会社を出て、帰宅することにしたわ


広「けーっ、強がり言っちゃって！明日の飯にも困ってるくせに！」
郷子「バカね、あれでいーのよ。あんな可哀想な犬でお金もうけちゃいけないわ」


えぇ…それこそ、今度は私達が『因果応報』を受けることになるわ





『あっ！あぶねーっ！』





後ろを振り向くと…
大きなガラスの張替えをしていた作業員の人が手を滑らせ、重く鋭いガラスが凄まじいスピードで稲葉さんの首に向かって突っ込んでいたわ



「ドンッ！」



助けに入ろうとしたら“人面犬”が稲葉さんを突き飛ばしたわ
そのおかげで、稲葉さんは助かったが…



「ザクッ！」



“人面犬”はガラスに首を切断され、落ちた首は車に轢き潰されてしまったわ


神音「前世での罪を少しでも償おうとしたのね…」





汚れた魂を浄化するには、この世で善行を積むしかない



いつかまた、人間として生まれ変わる日もくるでしょう

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