【名探偵コナン】優しすぎる君が【赤井秀一】

優しい ページ5

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全てを理解する頃には私は大分落ち着いていて、これからの身の振り方について思案できるまでになった。少年が言うには、私は『黒づくめの組織』というところの薬で小さくされてしまったということ、彼らの認識として私は死んだことになっていること。

いやいやいやいや色々と無理がないか？そういえば私はこの少年のことを１つも知らない。


「えーと、君は何者なの？」


すると少年はフ、とニヒルに笑って言った。


「工藤新一。…今は江戸川コナン、探偵さ。」


工藤新一、その名前には聞き覚えがあった。確か、超有名な高校生探偵だったはずだ。


「もしかして、工藤くんも彼らに小さくされたの？」


もしや、と思って尋ねれば返ってきたのは肯定、だから江戸川コナンなんて名乗ってるんだ。


「お姉さん、名前は？」


安心させるように笑うと、コナンくんもとい工藤くんは私に名前を尋ねてきた。まぁ当然のことかな、私も笑顔で応える。


「石井Aだよ。」


工藤くんは安心したように頷いた。


「うん、カバンの中にあった身分証明書と同じ。はい、これAさんのでしょ？」


奴等に見られてなくて良かったね、と笑う。


「どうして見られてないってわかるの？」


だって、彼は依然ニコニコしたまま続ける。


「見られてたら、これ多分全部処分されてたよ？」


冷や汗がブワッと背中を伝った。
本当に死ぬところだったんだという実感が今更湧いてきて、体が震えてくる。


「でも、もうAさんは死んだことにしたほうがいいかもしれないね」
「え」
「そうじゃなぁ」


今まで黙っていた博士さんまで同意されてしまっては、何故そんなことをしなくてはいけないのかはまだ理解していなくても、そうしたほうがいいのだろうかという思考に囚われた。


「だって殺したはずの人が居るってなったら、あいつらまた狙ってくるかもよ？」


それは嫌だ、ごめんこうむる。うん、死んだことにしよう、そうしよう。


「Aさん、家族はいる？」
「安心したまえ工藤くん、私の家族は海外に出張中だ、かれこれ28年くらい。」
「あ、同じようなもんだ、よかった。帰ってくる予定はある？」


えっ工藤くんもご両親が海外に…⁉高校生でそれってどうなんだろう…。


「ないねー、私の結婚式には帰ってくるかも♡」
「相手いるの？」
「居ないです」


だろうなって頷かないで、悲しい。



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