黒に染まって白に染まって (ページ28)

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白と黒。28 ページ28

「はいはい、止めにしようね」

　手のひらで制す素振りを見せつつ、二振りの間に入る。

　「……じゃあ、Aはどっちのほうが好きなのさ」

　「えっ」

　「ここでの生活で気が変わったりはしていないのか？」

　「えっ」

　まったく、この兄弟は……

　「前も言ったけどね……

私が好きなのは！

二振りともだから！」

　優柔不断で申し訳ないとは思う。

　でも、どちらかを選べない訳じゃなくて、どちらとも欲しいだけなんだよね。

　「うーん、欲張りな主でごめんね……」

　そう言いながら二振りの反応を伺う。

　「いや、それでこそAだな」

　「うん、そうだね」

　「ほっ……って、どうしたの！？」

　気付けば、二振りが私の両側にぴったりとくっついている。

　……暑いよ。

　暑いのは、くっついているからか、それとも……。

　「A、ありがとう。

これからも、ずっと一緒だよ、約束」

　「う、うん……？」

　「そうだな、これからも、三人で」

　「……」

　左手が髭切に、右手が膝丸に、自然に触れていく。

　──きっと、襲撃がなくても、いつかはこうなっていたんだろう。

　それくらい、私達はお互いに染まり合ってしまったのだから。

　……「好きだよ」と、確認するように、でも二振りに向けて呟く。

　触れた手が、徐々に熱を帯びていくのがわかる。

…

　「「A、愛してる」」