信じられない 4 ページ6
「沢田綱吉の所へ行ってみたらどうですか？」
何を言い出すんだこいつは。
「俺が行くとでも思ってるのか？」
「いいえ」
即答かよ。
「なんでそんなことを言うんだ？」
ふと気になった。
「私はA様に救ってもらう前のA様の事は知りません。ですが、助けられてからの数年間、A様はいつも私のことを気にかけてくれました。」
「気にかけた？俺が？」
まさか。お前如きにか？
「はい。A様は私に名前をくれて、しかも、新しい家族まで探してくれました。私は貴方を尊敬しています。尊敬しているからこそ、A様には幸せになってほしいのです。行ってみるだけ行ってみてはどうでしょうか？私もついていきますから！」
ふっ…このバカがここまで言うとはな。
成長したのか、口が悪くなったのか。
「言うようになったものだな。わかった。行ってみるだけ行ってみよう、お前も一緒にな。」
「はい！」
愛華の顔がぱぁと明るくなる。
昔よりも表情が豊かになったな。無表情だったあの、小さき少女だとは思えないな。
「行くぞ。」
「はい！A様！」
教室に向かう少しの間、他愛もない話をしていた。
「最近はどうだ？家族と仲良く暮らせているか？」
「はい。最近はですね、武が…」
ここまで活き活きした表情を作れるようになったのは、新しい家族のおかげか。
良かったな、愛華。俺とは違い立ち直れて…
〜放課後〜
「来たか。…そいつは誰だ？」
愛華を見ながらいう。
「調べてないのか？3Cの美月愛華だ。」
「愛華か？！」
俺が言い終わらないうちに、山本武が声を上げた。
「武？！」
愛華も気付いたのか、山本武の名を呼んだ。
「知り合いか？」
「A様が見つけてくれた新しい家族の一人息子です。知らなかったんですか？」
そこまで興味が無いからな。
「そうか。俺は父親にしか会ったことがない。…まさか10代目ファミリーの雨の守護者だったとはな」
最後は誰にも聞こえないように小さく呟く。
ここにいるのはリボーン、沢田綱吉、獄寺隼人、山本武、珍しく静かにしている笹川了平、そして、窓から見ている雲雀恭弥。
「えーっと、来てくれてありがとう雪野君。話があるんだけど…」
「お前、ファミリーに入らねぇか？」
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