想いが21つ ページ33
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いきなりのカミングアウトに伊織は驚きを隠せなかった。
｢なんとなく予想はしてたよ。宮城の人じゃないだろうなって。まさか東京の人だったとは｣
驚いた？と伊織の方に目だけ向けるAに、伊織はそれはもう、と返す。彼女の話は続いた。
『だからさ、正直行きたくないんだ、東京になんて。帰りたくないんだよ。もちろんバレーは嫌いだよ。だから、バレー部の合宿で行くのだって嫌さ。でも、東京に行くことの方が嫌なんだ』
｢なんで？｣
『向こうにはいろいろあるんだよ』
｢あぁ…まぁそうだろうね｣
Aは膝に肘を置き、頬杖をついた状態で真っ直ぐと前を見ている。
『別に家族が嫌いなワケじゃないよ。お父さんもお母さんも、おに…兄さんも、三人共すごくいい人。三人のことはむしろ好き』
｢Aも“好き”とか言うんだ…｣
『うるさい。だからこそ断りたいんだよね。今の私が三人の耳に入ったら絶対に心配かける。これ以上心配させてらんないの。特に兄さんはね』
『シスコンだから』と付け加えながら、いつになく真剣に話すAに伊織はなんと言ったらよいのかわからなくなってきた。
｢向こうに助けを求められる友達はいないの？｣
『いるよ。でも、今の“私”を知らない。あいつの中で私は二年前のまま。まずは気づいてもらわないと』
｢Aが言えばいいんじゃないの？｣
『無理。あいつは私の高校も居場所も何もかも知らない。だって私は逃げてきたんだもの』
“逃げてきた”
確かにAはそう言った。一体何から逃げてきたのか、伊織には知るよしもない。ただ、淡々と語るAの横顔がいつになくはかなくて、寂しげだった。
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七瀬月華(プロフ) - 夕陽さん» 夕陽さん、コメントありがとうございます！読者さんの意見を聞けることははじめてなので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2022年7月14日 16時) (
レス) id: 789243bd83 (このIDを非表示/違反報告)
夕陽(プロフ) - 初コメです。めっちゃ先の展開が気になります！更新頑張ってください！応援しています！(夢主ちゃんのツンデレっぷりすんごく好き！)伊織ちゃんの、夢主ちゃんのことを考えてるからこその葛藤もいいなと思っています！長文失礼しました！ (2022年7月13日 13時) (レス) @page48 id: 1eba8c5bca (このIDを非表示/違反報告)
七瀬月華(プロフ) - みわさん» みわさん、コメントありがとうございます！楽しんでいただき、とても光栄に思います。これからもよろしくお願いいたします！ (2022年4月30日 14時) (レス) id: 789243bd83 (このIDを非表示/違反報告)
みわ - 初コメ失礼します。いつもすごく楽しませてもらっております。これからも頑張ってください。 (2022年4月30日 14時) (レス) @page1 id: 729c546e88 (このIDを非表示/違反報告)
りーにゃ(プロフ) - 七瀬月華さん» きゃー！返信ありがとうございます！こちらこそよろしくお願い致します！ (2022年1月1日 21時) (レス) id: d5a894c308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2021年11月23日 1時
