標的67 戦線離脱−２ ページ26
麗羅視点
最終的にランチアに勝ったのは、最後の死ぬ気弾を撃たれた主君だった。
影武者に最後の弾を使う事をリボーンは惜しんでいたが、暗殺向きのビアンキと格闘派のランチアは合わない。
此処でランチアと互角に戦えるのは主君だけだったのだ。
戦いが終わった頃には副作用は引いて、獄寺は復活していた。
だが、山本は完全に気を失ったまま。
山本の身体を見たリボーンが、小さく首を振った。
｢山本は無理だな。
安全な場所へ移すぞ｣
｢ええ。貴女も山本に付き添っていてあげて頂戴｣
｢どうして！ まだボクは戦える！｣
此処で自分まで置いて行かれるとは予想していなくて、ボクは抗議の声を上げた。
ボクはまだ意識もしっかりしている。
足は引っ張らない筈だ。
ボクの言いたい事が分かったのか、リボーンは―――彼にしては手加減して――ボクの左腕を蹴った。
じーんとした痛みが左腕を襲うが、しかし普段蹴られる主君がもんどりを打つような痛みでは無い。
ボクの代わりに主君が悲鳴を上げた。
｢リボーン！ お前何して、｣
｢今、あまり痛く無かっただろ。
さっき棍を構えた時、左手は添えるだけだった。
しかも、右手の傷口が開いてんぞ。
左手は棍を強く握れない程に麻痺している。
右手も棍は握れるが、出血している事に気付けない位麻痺している。
そんな状態で、本当にまだ戦えるのか？｣
右手を見ると、確かに傷口が開いているらしかった。
巻いてもらった包帯が赤色に変色しているが、リボーンの指摘通り痛みは感じない。
右手は自分でも気が付かなかったが、左手は隠し切れていたつもりだったのに。
きっとボクを庇ったビアンキにもばれていたのだろう。
だから『山本の付き添い』と云う形でボクを置いて行こうとした。
リボーンがはっきり物事を言うのに対し、ビアンキは直接的な言い方をしない。
形は違うが、二人共仲間には優しいのだ。
こんな状態で行くと言っても、誰も賛成してくれないだろう。
非常に不本意だが、ボクは山本と一緒に残る事にした。
｢眼鏡野郎は俺が倒してみせますよ！｣
｢六道骸は俺達が倒して来るから｣
獄寺が笑って力こぶを見せた。
主君が不安気ながらも勝利宣言をした。
本館へ入って行く四人を、ボクは見送るしか無かった。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年10月19日 17時
