標的64 死の植物−２ ページ14
リボーン視点
「凍りつく武器(コンジェラスィ・アルマ)」詠唱と共に両端を凍り付かせた棍が麗羅の手の中で舞う。
氷で強化された棍の前に次々と幹や枝が砕け散るも、それと同等のスピードで新しい枝々がナハトの手によって生み出されている。
倒しても倒しても新手が現れ、麗羅は中々ナハトの元まで辿り着けないでいた。
｢あの猫耳野郎、どうやって植物を出してんだ？
手品じゃあるまいし｣
｢死ぬ気の炎と植物の種子だ。
あの死ぬ気の炎には、活性化作用がある｣
｢っ、そうか！ 奴は手の中で種子を燃やし、急成長させてるんすね！？｣
やはり獄寺は頭が良い。
俺のヒントで答えを導き出した獄寺に「ああ」と頷いた。
黄色の死ぬ気の炎は『晴の死ぬ気の炎』と呼ばれる物で、その性質は『活性化』。
獄寺の言った通り、奴は麗羅が防御に夢中になっている隙に、隠し持っている種子を死ぬ気の炎で燃やしているのだ。
最初の『俺の領域』と云う冴えない名前のドームも、ナハトはわざと麗羅を攻撃から逃し、地面の下にある大樹の根に死ぬ気の炎を灯した。
晴の死ぬ気の炎の特性は飽く迄も『活性化』。
炎の強弱は付けられても、自分の思い通りに植物を操るのは不可能。
その為、手の平を麗羅の方へ向ける事で、麗羅を攻撃しているのだ。
だからナハトの攻撃は、全体的に直線的になる。
偶に枝がうねるのは、射光によって育つ向きが傾くからだ。
麗羅はナハトの攻撃の仕組みに気が付いている。
現に麗羅は、ほほ規則的な動きで全ての植物を砕いている。
避けると成長が止まった植物が障害物になるのだ。
仕組みは完全に理解しても、それでもナハトの元に辿り着けないのは、やはり数が多い過ぎるせいだ。
麗羅は棍一本なのに対し、ナハトの植物は奴が死ぬ気の炎を灯し続けられる限り無限大と言っても良い。
単調的に植物を砕く麗羅の動きが、少しずつだが鈍って来た。
体力が底を付き始めているのだろう。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年10月19日 17時
