標的48 水遊び−３ ページ3
麗羅視点
閑話休題。プールにいながら水に浸からないと云うのは、暑くて敵わない。
湿気があって気温も高くて、吐き気すらする程だ。
汗で湿った水着が中途半端に身体に貼り付く感覚が気持ち悪い。
｢麗羅、足だけでも浸からねーか？ 暑いだろ｣
｢でも あたし、プールには入れない――｣
｢ちょっとなら大丈夫だって！ 行こうぜ！｣
「山本君！？」手を握られたと思ったら、強引に日陰から出されてしまった。
じりじりと熱い太陽があたしの肌を焼く。
眩しくなって目を細めながら、あたしはプールのすぐ傍まで連れて来られていた。
手を放した山本君が、両手いっぱいに水を掬って あたしの足に掛けた。
思わず「うわっ」と声を上げる。
｢いきなり何するのー｣
｢冷たくて気持ち良いだろ？｣
｢まあ、少し気持ち良かったけど｣
｢麗羅が入らないってんなら、俺が水掛けてやるよ｣
――じゃぷんっ。
山本君はプールに入ると、水面を勢い良く叩いた。
すると、一体どう強く叩いたら そうなるのか、水飛沫が顔の位置まで飛んで来た。
顔を左右に振って水気を取る。
一方的にされるのは何だか詰まらなくて、あたしは しゃがんで水の中に手を入れ、山本君に水を掛け返した。
「やったなっ」無邪気に破顔した山本君が、ばっしゃん、ばっしゃん！ 立て続けに水面を叩いたり、手で水をぶっ掛けたりする。
あたしも負けじと足で水面を蹴って対抗する。
山本君に水を掛けようと、前のめりになった時だ。
隣のプールからボールが飛んで来て、バランスを崩した あたしはプールに落ちてしまった。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年8月29日 9時
