標的31裏 意味なんていらない−２ ページ19
山本視点
これで死ねると思ったのも束の間、俺に続いて飛び降りた麗羅は、俺の身体を抱えた。
このままでは、死ねないかもしれない。
更に大怪我を負って、どうしようも無くなってしまう。
「放せよっ！」離れようとするも、強く抱き締められ、有ろうことか麗羅が下になってしまった。
コンクリートに体当たりする寸前、麗羅だけは助かって欲しいと願った時だ。
突然ツナが現れ、全員無傷で着地する事が出来た。
麗羅が助かった事には安心したが、次には死ねなかった事に対する怒りと悲しみが込み上げて来た。
｢なんで俺を助けたんだよ。俺なんか、生きてたって意味無いのに｣
俺が言い捨てた刹那、乾いた音と共に頬に痛みが走った。
顔が強制的に横を向かされる。麗羅に平手打ちされた。
熱を持った頬を手で押さえ、麗羅を睨めつけた。
「治ってからすれば良い」俺が怒鳴る前に、麗羅に怒鳴られた。
練習しなければ、筋肉はすぐに落ちてしまう。そうすれば、また下手になる。
ただでさえ調子が悪いのに下手になるなんて、俺には耐えられない。
麗羅は俺の気持ちが分かっていない。
怒鳴り返すと、今度は静かに麗羅が言葉を紡いで行った。
｢生きるのに、意味なんていらない。
山本君と、また沢山お話ししたいよ。
それじゃあダメなの？｣
麗羅の震えた声に、俺ははっとして顔を上げた。
泣かせたと思ったけど、涙は流していなかった。
でも、酷く辛そうな顔を向けられて、胸が苦しくなった。
麗羅の辛そうな顔を見たら、死にたいなんて思えなくなった。
まともに会話をしたのは、放課後の一度だけ。
それだけの奴にも、麗羅は命を賭ける事が出来る。本気で叱ってくれる。
そう思うと、たかが骨折したくらいで自害の道しか見えなくなった自分が、浅はかに思えた。
「ありがとな」そう言って笑みを浮かべると、麗羅照れ臭そうに含羞んだ。
小さいのに寛大な麗羅と、助けてくれたツナに付いて行こうと、俺は心の中で密かに誓った。
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レイチェル - S隊長さん» そう言って頂けると、嬉しいです。これからも頑張ります。ありがとうございます！ (2018年5月6日 11時) (
レス) id: e5404397aa (このIDを非表示/違反報告)
S隊長 - すごく面白くて更新を毎日楽しみにしています！！ (2018年5月5日 21時) (レス) id: c58740c157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年4月30日 17時
