標的15裏 鮫さんと修羅場−２ ページ42
スクアーロ視点
ベルは手の掛かる奴だ。
自分のしたい仕事だけ熟し、それ以外の事は俺に投げる。
そして それに便乗するルッスーリアや、他の奴らにも困る。
そのせいで俺は、任務が無い時も眠れない事は少なくない。
つい引き受けてしまう俺も俺だが。
今日も書類整理をしていた。
すると廊下から気配がして、様子を見に行った。
外にいたのは、予想外の麗羅で、俺はどうしようか迷った。
麗羅は眠れなくて城を彷徨っていたらしい。
他の奴が相手なら放置するか、部屋まで連れて行ってやるだけだが、何故か麗羅を見ていると、面倒を見て やれねばいけない衝動に駆られる。
上目遣いの時に感じた感覚と似たような感じだ。
保護欲を掻き立てられると云う言葉が相応しい。
麗羅を俺のベッドに寝かせる。
眠れず、俺を気遣って無理に目を瞑っているのが分かり、俺は麗羅の頭を撫でた。
気持ち良さそうに顔を綻ばせた麗羅を見て、もし妹と云う存在がいたなら、と柄にも無く本気で考え掛けた。
麗羅が起きたのが、物音と気配で分かった。
しかし、起き上がろうと云う気にならず、そのまま微睡んでいると、徐に髪を触られた。
特に嫌では無かったので暫く放置していたが、一向に止める気配が無かったから声を掛けた。
俺の髪は触り心地が良いと言われ、男として変だろうと少し違和感を持った。
俺は自然な動きで、麗羅の髪に触れた。
手入れがされておらず、ぎしぎしに傷んだ髪だった。
麗羅なら、もっと指通りの良い髪をしていると、理由も無く思い込んでいたから少し驚いた。
｢スクアーロ、姫が何処にいる、か、知って……｣
気を緩めていて、ベルの気配に気が付けなかった。
ベルの視線は、麗羅の頭に乗せられている、俺の手に向けられている。
咄嗟に麗羅から離れる。
ベルがキレるまで、あと二秒。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
