標的15 鮫さんと修羅場−３ ページ39
麗羅視点
無遠慮に部屋に入って来たベルさんが、固まった。
顔が無表情の境地に達している。
一方、スクアーロさんは「げっ」、と声を零して あたしの髪から手を引き、あたしから距離を置いた。
次の瞬間、ベルさんが懐からナイフを取り出し、スクアーロさんに投げ付けた。
スクアーロさんは、瞬時に義手の剣でナイフを払い落として行くが、何本か壁に突き刺さってしまっている。
ベルさんの殺気に宛てられ、あたしの頬からは嫌な汗が滴り落ちた。
｢姫が部屋にいなかったから何処に行ったんだって探したけど、なんでスクアーロの部屋にいんの！？
なんで姫襲ってんの最低！｣
｢う゛ぉおおおい！ 誰も襲ってねーぞぉ！
誤解すんじゃねぇ！｣
｢じゃあ何だって云うんだよ。姫の髪触ってたじゃん｣
｢そりゃあその、成り行きって奴でだなぁ。
つか、今は麗羅の前だろぉ！
ナイフは仕舞え馬鹿！｣
スクアーロさんが止めたのと、あたしのすぐ横をナイフが通り過ぎたのと、ベルさんが投ナイフを止めたのは同時だった。
恐怖で身体が動かなくなった。
スクアーロさんの手が頭に乗せられ、やっと身体が自由になった。
喉に詰まっていた息を吐き出す。
ベルさんが、口を噤みながら歩み寄って来た。
｢あー、えーっと。
姫がすっきり目覚めるように、マジックしたんだよ。
怖がらせちまって悪かったな｣
あたしには普通に接する事になっているらしい。
ベルさんが、かなり厳しい言い訳を言ってくれた。
誘拐の常習犯と、初対面の相手に剣を向ける人が揃った時点で、絶対に普通では無いような気がするのだが。
しかし死にたくはないので、あたしは素直に納得しておいた。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
