標的15 鮫さんと修羅場−１ ページ37
麗羅視点
朝、太陽の光が当たって目が覚めた。
隣に腕を伸ばして、ある筈の温もりを探すけれど、ふかふかの布団の感触しか無かった。
嗚呼、そう云えば此処は森では無くヴァリアーの城だったと、あたしは伸ばした手を引っ込めた。
無意識にフラン君を求めていた自分に、呆れる。
あたしがフラン君を置いて行き、あたしがフラン君に「嫌い」だと言ったのに。
起き上がって周りを見ると、スクアーロさんがソファーに横になっていた。
あたしがベッドを占領してしまったせいで、寒い思いをさせてしまったようだ。
ベッドから降り、スクアーロさんを起こそうとソファーの前まで行く。
寝ている時まで難しそうな顔をして、将来しわくちゃな顔にならないか少し危惧しながら、ソファーに広がる銀色の髪に視線を移した。
(スクアーロさんの髪、全く絡まってないなぁ)
朝日に照らされ、銀色に輝く髪は綺麗だ。
男の人だけど、しっかり手入れされているのが よく分かる髪質である。
気が付いたら、スクアーロさんの髪に触れていた。
さらさらと手から摺り落ちる髪を掬っては、ゆっくりと梳ぐ。
この銀色の髪に触れていると、不思議と心が落ち着くような気がする。
｢う゛ぉおい。何時まで触ってんだぁ？｣
｢うにゃぁおあああ！？
お、おはようございます！｣
じっと細長い目で睨まれ、反射的に手を引っ込めた。
起こすつもりが、あたしは一体なんて事をしてしまったのだ。
暗殺者の寝込みを襲うなんて自 殺行為だ。
身体を起き上がらせるスクアーロさんの顔は、寝起きにしては覚醒し過ぎているように見える。
｢あの、何時から起きてました？｣
｢麗羅が起き上がった時だぜぇ。
俺、気配には敏感だからなぁ｣
｢気配に敏感、ですか。
そうですよねー、ですよねー｣
乾いた笑みを浮かべる。
ヴァリアーのボス候補だったスクアーロさんなら、近くで誰かが気配を発していて気が付かない筈が無い。
寝ている時も例外では無いし、ましてや気配を消していないド素人が相手だ。
首を傾げて訝るスクアーロさんに、あ、しまったと心の中でぼやく。
本来、あたしはスクアーロさんが暗殺者である事は知らない筈なのである。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
