標的13 王子様と食事−２ ページ34
目の前に広がる鮮やかな料理達。
ルッス姐さんに「召し上がれ」と言われ、あたしは まず一番近くにあったマグロのカルパッチョを鷲掴んで口に入れた。
これが魚だなんて思えないくらい、美味しい。
あたしが今まで食べて来た魚とは一体、何だったのだろうかと疑うレベルだ。
もう一口食べようと手を伸ばした処で、スクアーロさんとルッス姐さんに止められた。
二人共とてつもない表情を浮かべている。
あたしは首を傾げた。
｢お二人共、どうしましたー？｣
｢どうしましたー、じゃねぇ！
なんでお前、手掴みで食ってんだぁ！？｣
｢可愛い女の子が手掴みで食べるなんて、信じられないわ！｣
｢直接口で食べる方が信じられないですけど｣
スクアーロさんとルッス姐さんが大きな溜息を吐いた。
隣のベルさんは、何やら銀色の棒を使っている。
あれで食べるのだろうか。
｢ん？ 姫、フォークの使い方知らねーの？｣
ひらひらと銀色の棒、もといフォークをちらつかせるベルさんに、正直に頷いた。
するとベルさんは あたしの顎を掴み、違う手でパスタをフォークに絡め、あたしの口に入れた。
赤ん坊みたいな事をさせられて、あたしは かっと顔が熱くなった。
口をもぐもぐ動かしながら、「何するんですか！」、とベルさんを睨み付けながら怒鳴った。
ルッス姐さんがキャーキャー言っている。
｢王子が食べさせてやれば、フォークの使い方知らなくても食えると思って｣
｢それもそうね！
さっすがベルちゃんだわ。良い物見せてもらっちゃったわ｣
｢う゛ぉおおい！ お前ら何変な事考えてんだぁ！
おい麗羅、俺が教えてやるから、フォークとナイフ持て！｣
凄い剣幕で言ったスクアーロさんに戸惑いつつ、スクアーロさんが持ったのと同じ銀色の棒を二本、手に持った。
そしてスクアーロさん指導の元、フォークとナイフ、スプーンを使っての食べ方のご指導が行われた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 181人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
