標的11 王子様と如何にかこうにか−１ ページ29
麗羅視点
ベルさんに早速、あたしが泊まれる空き部屋へ案内してもらった。
しかし、どうして空いているのか聞きたいくらい、部屋が豪華で広過ぎた。
｢わー！ 今日の昼まで住んでた洞窟より大きいですね！｣
｢姫って変な例え方すんだな。
その思考回路、頭切り刻んで見てみたいぜ｣
｢止めて下さい！｣
笑いながら恐ろしい事を言うベルさんに、あたしは青ざめた。
ピカピカなテーブルとソファー、奥には あたしが余裕で入れそうなクローゼットがある。
他にも色々あって、重ねて言うけど、どうして空いていたのか謎である。
その中でも一際目立っている大きなベッドにダイブした。
ふかふかで、自分の身体に合わせて布団が沈む。気持ちが良い。
あたしはベッドと同化した。
｢おーい、姫〜｣
｢ベルさーん。ふかふかで気持ち良いですー｣
声を掛けて来るベルさんに、顔も向けずに返した。
隣にベルさんが寝転がった。
顔を上げて隣を見ると、すぐ近くにベルさんの顔があって、思わず大声が出る。
もう一度言う。顔が、近い。
｢ちょ、ベルさんはダメです！
今晩だけは あたしのベッドですからね！｣
｢今晩だけと言わず、ずっと此処にいれば？｣
｢無理ですー。あたしは日本に行かないといけないんです｣
｢あっそ。残念｣
ベルさんが立ち上がった。
ほっと胸を撫で下ろす。異常に脈が速かった。
｢飯が出来たら、後で王子が呼びに来るわ｣
｢あ、はい。お願いします｣
あたしは起き上がって、ベルさんに頭を下げた。
ベルさんは「じゃあな」と笑みを浮かべながら、手を振った。
あたしも、ベルさんが出て行くまで手を振り返した。
ぱたん、と扉が閉じる。あたしは息を吐いた。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
