標的４ ジレンマ−２ ページ12
麗羅視点
あたしはローシさんの正体を知る事を取り敢えず放棄して、フラン君を探す事にした。
フラン君にも事情を説明して、一緒に来てもらわなければ ならない。
《待て。そのフランと云う奴に説明するのは、止めた方が良い》
(どうして？ フラン君なら、きっと分かってくれるよ)
《そう云う事では無い。
お前がフランに説明すると云う事は、フランを裏社会に巻き込む事になると云う事だ。
お前と違って、能力を持たないフランが》
言われて気が付く。
フラン君はあたしと違って、ローシさんから能力を解放してもらっていない。
あたしに付いて来たせいで、フラン君にもしもの事があったら、あたしは耐えられる気がしない。
それに、フラン君は雪の波動を持っていないのだから、一緒に来る必要が無い。
ならば、此処で安全に暮らして欲しい気もする。
けれど、今まで一緒に生きたフラン君と別れるなんて、簡単には決められない。
フラン君は、唯一無二の存在だからだ。
今になって、雪シリーズを受け入れた事の重大さを知った。
雪シリーズを受け入れ、並盛町に行く事は、フラン君との離別を表している訳で。
《大丈夫だ。オレには、お前とフランがまた出会える未来が見える。
だから、今は並盛町に行って、精一杯の事をしよう。
また会える事を信じて》
あたしは伏目がちに頷いた。
フラン君を危険に合わせない為には、今はそれしか出来ないから。
そうと決まれば、フラン君に別れを告げにいかなければ ならない。
あたしは重い足取りで、来た道を戻る事にした。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
