金華の香に当てられて【kym短編集】 (ページ44)

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俺は毒だ。

目黒蓮によって生み出された毒。

『ただいまぁ〜』

目「おかえりなさい、京本くん」

『ねえ！違うでしょ！』

笑顔で出迎えてくれた恋人をジロリと睨みつける

目「ふはっ、すみません。おかえりなさい、大我くん」

『ん！蓮ただいま！！』

料理でもしていたんだろうか、エプロン姿の蓮に抱きつく。

目「うわ、可愛すぎます… あ！ちょっと大我くん離れてください！焦げちゃう！」

『やだ！蓮は俺と料理どっちが大事なの？』

目「…それはズルいです。大我くんに決まってるじゃないですか」

『ふふっ、俺も蓮が世界で1番大事だよ』

初めて蓮を見た時、凄くかっこいいと思った。

端正な顔立ちに意志の強そうな瞳。

幼いながらに一目惚れしたんだと思う。

そんな蓮から出会ってすぐの時に告白されて。

正直嬉しかった。

でも当時の俺は親のことで色々言われてたりしたから、どうせ罰ゲームとかだろうなって思ってシカトした。

それ以来何度も告白されて、『あれ、もしかしてマジなの？』なんて思い始めて。

だけど俺は臆病だから、揶揄われてるんじゃないかって不安で。

中々信じることが出来なくて、叶わない恋だってずっと思ってた。

むしろ一生片想いでいい、この気持ちは宝物みたいに大事にしまっておこうとまで思ってたのに。

吐き出せない『好き』を抱えたまま俺たちは大人になってデビューして、蓮の人気はうなぎ登り。

いつか手の届かない存在になってしまうかも、と毎日不安で仕方なかった。

そんな時にされた57回目の告白で蓮は「俺たちは運命」と言った。

それを聞いた時、まず『やっぱり揶揄われてたのか』という思いがよぎった。

だって今どき運命なんて言う人いる？

でも堂々と言ってのけたその顔は真剣で。

だから蓮を試そうと思った。

そんな考えで言ったのが『Snow Manを辞めろ』。

蓮に、俺かSnow Manか選ばせたんだ。

もし大事なグループじゃなくて俺を選んでくれたら、こいつを信じて付き合ってみようって。