権力とチートで原作ですとろい！

42話 甚爾編�� ページ45

Asideー


状況は見るからに最悪



当主が血塗れの少年を足蹴にしている



使用人達も心で嘲笑いながら傍観していた



いきなり現れた私の姿に驚いたのか、彼らは驚愕して固まった



『…8年も妾に子どものことを報告しないとは、一体どういうことかな

それに…今の状況について説明してもらいたいが』



私は鋭く当主をにらんだ



禪院「っ！…あ、貴方様に報告するまでもなかったのです

…呪力も持たぬ出来損ないなど___」

『ほう？お主が神統教の教えを知らぬとでも？』



禪院「…」



『…その子どもの傷は？』



禪院「…」



『はぁ…』



おそらくこの男はこれ以上何も話さない



私は前髪を耳にかけ、近くにいた使用人と、"左目"を合わせた



その瞬間、使用人からハイライトが消える



禪院「！！」



『この少年、なぜここまで怪我をしている？』



禪院「おい！」



当主が声を荒げるが、使用人は口を開いた



使用人「…呪霊の間へと投げ入れたからです」



『呪霊の間とは？』



使用人「呪霊達を集めて入れている部屋です」



『少年の名前は？』



使用人「禪院 甚爾です」



(やっぱり…この人が、いや、この子が甚爾さんだ)



そう改めて認識して、怒りが沸々と湧いてきた



『では確認だ

お前達は、8歳の呪力を持たぬ彼を、呪霊で溢れかえる部屋に閉じ込めたのか？』



使用人「はい」



『…もう良い』



私が指を鳴らすと使用人は正気を取り戻した



使用人「あ、あれ？…私は一体何を…」



禪院「貴様ぁ！！」



当主は使用人に怒号を飛ばした



『禪院』



禪院「！！」



『貴様は目上のものを前にしたとき、どうするべきかもわからないらしいな


妾直々に教えてやろう』



私は手を前に出し




『まず、上座を譲る』



私が手を横に払うと、



ﾄﾞｶﾞｧｯ



当主が何かに飛ばされたように壁に激突した



『次に、頭を下げる』



ｺﾞｽｯ



また手を下に払えば当主の頭が畳に激突した



『それが話を聞く態度というものだ』



そのまま当主を押さえつけながら、私はさっきまで踏まれていた少年…甚爾を抱き上げた



甚爾は意識をかろうじて保っている、というような感じだった



『…ゆっくりやすみなさい』



そういうと甚爾は半開きの目を閉じ、眠りについた



『よいか、今後禪院 甚爾は妾が預かる

二度とこのような愚かな真似はするな

当主の座を保っていたければな』



私はその場を立ち去った

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