権力とチートで原作ですとろい！

36話 宿儺編�� ページ39

宿儺sideー


宿儺「！！」



目が覚めて慌てて起き上がると、そこは小さな小屋だった



宿儺「どこだ…ここ」



俺の体の怪我は綺麗さっぱり無くなっていた



(とりあえず、逃げよう)



なんで俺を助けたのかは知らないが、明らかに人間じゃない俺を助けるなんておかしい


なにか魂胆があるに違いない



逃げる前に何が貰っておこうと部屋を見るが…



宿儺「ここ…本当に誰か住んでるのか？」



確かに小さな家ではあるが、中には布団と本くらいしかない

食べ物も水瓶も、農業道具や服さえない

元々ついている囲炉裏や釜も、使っているようには見えない



生活感のない家に違和感を覚えながら、小屋を出ようとしたその時



『あ、起きたの？』



扉が開いて、目の前に女がいた



宿儺「っ！！」



慌てて距離を取る



(逃げ道がない…女くらいなら撒けるか？)



『ちょっと、別に殺したり捕まえたりする気はないよ

あと、私をそう簡単に撒けると思わないで』



宿儺「っな！」



慌てて口を押さえた



(思っていたことが口に出たのか？？)



『とりあえず、お腹すいたでしょ』



宿儺「…はぁ？」



女が家に入ると、その後ろから球体の水が浮いて入ってきた

しかも、水の中には魚が泳いでいる

他にも草とか肉とかがふわふわと浮いている



宿儺「こ、これ…」



『ん？あぁ、気にしなくていいよ』



女はどこから出したのか、たすきを使って着物を結び、水中から魚を取り、囲炉裏端に置いてあった竹串を使い、魚を囲炉裏に刺して焼き始めた



『さて、』



女は床下から黒い塊を取り出した



宿儺「？」



『ほい』



女が触ると、塊は鍋へと変わった



そこに草、肉、水、あとはよく分からないものを入れて行き、木の蓋をした



鍋からも、焼けてきた魚からも、いい匂いがし始めた




(こ、こんなまともな飯…久しぶりに見た)



ｸﾞｷﾞｭﾙﾙﾙﾙ



宿儺「！」



『あははっ、いい匂いしてきたもんね』



女は俺の腹の音に笑った後、鍋をかき混ぜて味見をした



『…うん、いい感じ』



煮物が器に注がれ、俺の前に置かれる



『魚も焼けたし、たんとお食べ』



(毒が入ってるかもしれない、俺を安心させるだけかも…もしくはまた別の目的が…)



女を警戒し続ける俺の理性とは別に、俺の手は、うまそうに焼けた魚を手に取っていた



かぶりついた途端、油が出てきて、口に旨味が広がる



ﾎﾟﾛｯ



はじめてのまともな飯に、涙が出てきた

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