百四十六歩目。 ページ47
―Aside―
布団に心操くんを引きずり込んで、私も潜り込んだ。
絶対今顔赤いから見られたくないけど離れるのもいやだから心操くんの胸元に顔をうずめてる。
そっちのが恥ずかしいだろって？今更です。ぎゅーならお手の物なんです。
ちゅーだって恥ずかしくない。全くって訳じゃないけど、嬉しいと好きの方が溢れて勝ってるから。
問題は心操くんの表情と声です。
さっきちゅーしてくれた時なんてすんごいやさしい表情してるし、無意識なのか分かんないけど「かわい、」って小さく言ってくるし。
なんなん。かっこよすぎる。すき。
私だってキャパありますし。羞恥心だって持ってますし。
「A」
『なんですか』
「何で敬語...。距離感じるからやだな」
『敬語やめる。心操くんすき...』
「唐突。俺も好き。落ち着いた？」
『ん、気持ち的には落ち着いた。顔、赤くない？もう大丈夫？見せれる顔してる？』
「今見せてるのに確認するんだ。大丈夫、かわいいよ」
『...』
「あ、また赤くなった」
おかしい、今日の心操くん甘々すぎる。なに、"恋人モード"ってやつですか。なんかチラッてそんな言葉見たぞ。
普段と恋人の前で雰囲気とか態度が変わる人に使うやつでしょ。
心操くんが嬉しそうな顔したから"恋人らしいこと"はできたはず。
ちゅーに種類があるのも呼吸の仕方も知らないし、勉強不足なのは否めないけど...。
言い訳するとサイトにまとめられてるのとか、半分はもうしてたよ。困惑だよ。友達の時でもしてるじゃんってなったもん。
デートでしょ、手をつないだりぎゅーしたりでしょ、おそろいもあるし、友達とか家族に紹介ってのもしてるし、一緒に勉強もしてる。
学生だからお金かかることはできないし、やってないことというか出来ない事の方が多かった。
だから、ちゅーくらいしか残ってなかったのに。
「かわいい」って言われただけで何でこんな照れるの。
私が心操くんに『かっこいい』って言っても心操くん照れないのに。
『心操くん、ぎゅーして』
「はいはい」
『すき』
「俺も好きだよ」
『......おやすみのちゅー、もっかい』
「ん、」
照れさせようと思って色々言ったのに効果ゼロです。
全部うれしかったからもういいや。
好きな人と両想いになれるのは奇跡で、"恋人"は特別。
お母さんとお父さんも結婚する前はこんな感じだったのかな。
『おやすみ、心操くん』
「ん、おやすみ」
なんだ、私とっくに幸せじゃん！
▽
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
