百四十四歩目。 ページ45
―Aside―
「もう寝るか。眠いだろ」
『ねむくない』
「うそ。明日学校あるし、寝よ。Aが寝るまで居るから」
『え、一緒に寝ないの？』
このまま心操くんもここで寝ると思ってたからびっくり。おかげで少し目覚めた。
私寝る気満々だったんだけど。心操くん部屋来たからそのつもりだと思ってた。
まわしてた手を離して両肩に手を置いて目を合わせても【過去視】は発動しない。
勝手に視る気なんて微塵もないけど、"個性"を使わない様に顔を見れなくなるのはいやだから。
心操くんの膝に乗ってるからほんのちょっとだけ私の方が目線が高い。
それにしても心操くんホントイケメンだな。
こんなにかっこよくてやさしい心操くんが私を好きなの不思議。
中学の時もちょくちょく告白されてたし、高校でも体育祭終わってから何回も呼び出されてる。
かっこいいもんね、わかるわかる。
まっ！私の彼氏さんなんだけどね！(マウント)
「見すぎ」
『だって心操くんがこんなにかっこいい。鏡見る？』
「見ないよ。一緒に寝るからもう寝よう」
『えー...ん〜〜、......うん、寝る』
「渋々だな。じゃあ、おりて」
『はーい。あっ、』
「ん？」
こっちを見たままの心操くんの口に自分の口をあてる。
心操くんの身体がびくってして、初めて見る表情になった。
眉を上げて目を見開いてもう、絵に描いたみたいなびっくり顔。かわいい。
心操くんと"恋人"になってから私だってちゃんと勉強したのです。
今まで好きとか付き合うとか、友達との違いが分かんなかったから。
最初にその違いについて調べて、心操くん「恋人らしいことがしたい」って言ってたから調べてリストアップした。
"恋人"は"友達"じゃできないことをするらしい。今したキスも"恋人らしいこと"に書いてあった。
「は、」
『"おやすみのちゅー"だよ。恋人とするんでしょ？私ちゃんと調べたんだ〜』
若干得意げにドヤってみたんだけど、心操くんはまだ固まってる。
あれ、間違った？でも確かに書いてあったよ。「恋人らしいこと」って調べたもん。
首を傾げて心操くんを見てたら視界を手で隠された。
なにごと！？ってびっくりしながらも指の隙間から心操くんを見たら自分の顔も手で隠してた。
『心操くん？』
「ホント、勘弁して。はぁ......」
『あ、耳赤い。照れてるの？かわいいね』
「ちょっと黙って」
『はい』
なんだ、照れてたのか。
手と髪で顔はあんま見えないけど耳が真っ赤だ。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
