百四十二歩目。 ページ43
―Aside―
『そんじゃ、お世話になりました』
「はい、お世話しました〜」
『嘘は良くないですよー。私をお世話してくれたのサイドキックの方たちなんで』
「ホント俺にだけ失礼だよねー。また九州来るなら俺んとこおいでよ、焼き鳥おごるからさ」
『じゃあ遠慮なく。お腹減ったら会いに来ます。今度は水炊き食べましょ』
「いいね、そうしよう。じゃ、新幹線もくることだし、気を付けて帰って。またね」
『はい、また』
ホークスに見送られて改札を通る。新幹線の到着を知らせるベルが鳴った。
今日でインターンは終わり。今から帰寮です。
あの後、雄英にはタルタロスであったことを報告してリカバリーガールを呼んでもらった。
手を治して欲しかっただけなのになぜか相澤先生も付いて来ててびっくり。
最後の電話で説教宣言されてたから身構えてたんだけど特に怒られることはなかった。
まぁ、「二度とすんな」って釘は刺されたけど。
今後絶対にしないかと聞かれたら頷けないから笑って誤魔化したらすんごい低い声で「"はい"だろ」って圧かけながら言われて無意識に頷いちゃった。
これ脅しと変わらないと思うんだけど？？拒否権無かったんが。
変に気を遣われたり、同情されて腫れ物扱いされるよりはずっと良いんだけどさ。
指定席に座って出発を待つ。あっちに着く頃には夜中かな。就寝時間すぎるかもな、静かに帰んないと。
『(心操くん、待ってくれてるかな)』
ししゃもにも会いたい。もふりたい。威嚇されたら泣く。チュール残ってたっけ。
一人で寝るのは案外さみしい。ししゃもの体温ともふもふの安眠度ってすごかったんだな。
ホテルのふかふかのベッドはすごい良かった。ベッド新調しようかな、同じの探そう。
大丈夫。不思議なくらい私は落ち着いてる。
知ってるのは公安、警察、雄英教師だけ。怪我も治った。
隠そうとしなくてもバレない自信がある。
だって、悲しくも辛くもない。
むしろお父さんの記憶が戻ったのは良いことだ。
タルタロスに行っても行かなくても、会えないのは変わらないんだし。
忘れないまま、前を向いて行こう。
ほら、"PlusUltra"ってね。
―――――――――――――――
『あれ、相澤先生だ。もう23時なってますよ？』
「だからだろうが。こんな時間に一人で帰らせられるか」
『普通その役割は担任では？』
「泣きながら溜まった書類片付けてるよ」
『威厳の欠片もないですね』
「そういう奴だからな」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
