目指せ！個性の無い世界！３【ヒロアカ】 (ページ42)

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百四十一歩目。ページ42

―Aside―

ホークスと目が合ってすぐに目の前の景色が変わって、知らない場所、知らない人が見えた。

生活音は聞こえないのに人の声だけが脳内に響くように聞こえる。

この"個性"を知っている。

お母さんの【過去視】。目を合わせるとその人の目線で過去を見れるって言ってた。

見ている間にも目の前にいるホークスの声はちゃんと聞こえる。

私は困惑しているのに、ホークスが冷静だから意図的に視せられていることに気付いた。

映像を早送りしたみたいにとんでもないスピードで流れる光景に頭が痛くなる。

もしこれが現実なら目で追えないはずなのに、はっきりと何が起きているのかを理解できるのが怖い。

幼かったホークスがどんどん大きくなって、ヒーローになった。

これを見せてどうしたかったんだろう。私にもホークスにも得なんてないのに。

今日の光景に移って、一瞬で今の状況に戻ってそのまま【過去視】は止まった。

目の前のホークスが見えたと思ったら今度は私の過去が流れてきて、もうホント情報過多です。

『...はぁ、』

「終わった？体調は平気？」

『大丈夫です。ホークスの過去と私の過去、お父さんの事も全部視ました。お母さんと私の"個性"について教えて下さい』

ホークスは想像以上に知っていた。

お母さんの"個性"が【過去視】なのは知ってる。でも、他人の過去を切り取れるなんて聞いてない。

お父さんが入院していた病院は不正を働いていたらしい。

治らない病気でも「治る」と言って多額の治療費を受け取っていた。

お父さんはその被害者の一人だったわけだ。

ちなみに、院長はオール・フォー・ワンとの面識はないらしい。

あの電話の声は院長じゃなかったのかも。録音か声を変えた他人だったのかは分からないけど。

【完治】なんて"個性"をオール・フォー・ワンが持ってたらこの世は終わりだ。

「Aちゃんの本当の"個性"は【譲受】。対象者から承諾を得る事、その人物が死ぬことが発動条件。君の両親はそれに当てはまったから、今Aちゃんは二つの"個性"が発現したんだよ」

『あぁ、そういう......どうりで。【遮断】だけで危険視されるなんておかしいって思ってたんです。公安は【譲受】の方を危惧してたんですね。同時に、利用価値があるとも思った訳だ』

ようやく納得できた。

そりゃ監視もするか。ヴィランになったら厄介だもんね。

『ははっ、』

私、ろくな人生歩めなそうだな。

あー、でも、"幸せ"にはなんないと。

▽