百四歩目。 ページ5
―Aside―
『この女性の治療お願いします。左足骨折、右足捻挫、額の傷は小さいです。今は意識もはっきりしてますが発見時には気絶してました。この子は娘さんのあさひちゃんです。特に怪我はないです。私は救助に戻ります』
「分かった。...うん、報告通りだね。治療は僕がするよ」
『ありがとうございます。あさひちゃん、助けを呼んでくれてありがとう。きみのおかげで助けられたよ。もう大丈夫だからね、ママと一緒にいてね』
「うん、お姉ちゃんも助けてくれてありがとう！」
『どういたしまして！』
救護所に着いて女性を降ろしてトリアージを務めてくれてる先輩に任せる。
ここに居ても私は何も出来ない。あさひちゃんに声をかけてからまた被災現場に向かう。
既に結構な人数の要救助者が集まってる。このエリアはもういないかもしれないけど、被害者がどれだけいるかなんて分からない。
救助、誘導、指示だし。経験の差もあるんだろうけど、先輩方の行動は早い。さすがだ。
１０分で救えたのはたった二人。数が多ければ良いって訳じゃない。それで助け方が雑になるなら意味が無い。
崩落の危険性、女性の怪我の度合いを考慮した結果だ。もっとやりようはあったのかもしれないけど、今の私にできることで最善を尽くした。今はそれでいい。
ドンッ！！
『！ 爆発...？』
《ヴィランにより大規模テロが発生》
なるほど、そういうシナリオか。
救護と対敵。どちらも並行して対応しろってか。中々にハードだなぁ。
《ヴィランが姿を現し追撃を開始。現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ、救助を続行してください》
ヴィランはこのエリアに居ない。都市部の方が騒がしくなってるからおそらくあっちのエリアに現れた。
ここよりもあっちの方が要救助者は多かった。実際救護所はあそこが一番大きい。
ヴィランの制圧か、傷病者の避難か。
多分ほとんどの人がそう考えてる。だから、あっちには人が集まるはず。
ヴィランの数が多いなら広範囲攻撃が可能な人が向かった方がいい。
私はここに残って救助の続行。ヴィランが流れて来るなら応戦する。
―――――――――――――――
「こっちに手を貸して！！」
『私が行きます！この方お願いできますか』
「あぁ、任せろ」
『ありがとうございます』
要救助者に対して救助者が圧倒的に足りない。
だから、協力して効率の良い救助が求められる。
個人よりチームでの動きを見てるのか。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
