百三十五歩目。 ページ36
ーAsideー
[じゃ、あと2日頑張って。無理だけはすんなよ]
『分かってるって〜！明日も電話するからね！かけてよ！？』
[はいはい。またな]
『うん！またね〜！』
プツッ
心操くんいつも通りだった。多分誤魔化せた。電話でよかった。
あと2日、頑張んないと。
リカバリーガールに来てもらえないかな、手さえ治ればインターン続けられる。
あぁ、でもそうしたら雄英に伝わるのか。
心操くんに伝わらなきゃいいかな。やさしいから気遣わせちゃう。
未来さんも今は死穢八斎會の件で忙しくしてるから伝えるのはダメだ。邪魔になる。
「Aちゃん」
急に呼ばれて少し驚いた。手元にあったスマホが【剛翼】に持ってかれる。
触れてる指が痛かったからありがたい。
何でこんな怪我したんだっけ。タルタロスに行って、どうなったんだっけ。
そういえば、ここホークスの事務所だ。いつの間に戻って来たんだろう。
ホークスなら知ってるかな、と思って顔を向けたらホークスが変な顔してた。
変な顔ってのは失礼か。でも、いつもはしない表情。
「どこまで覚えてる？」
『どこまで？』
「タルタロスに行って、君は"脳無"に近い生き物になった母親に会った」
『....』
何、言って、
あれ、私、ホントに何してたんだっけ？
タルタロスに行って、それから、そうだ、塚内さんがいたんだ。
それで、神野区で、"脳無"が見つかって、お母さんで、
お母さんに会った。
話して、ガラスが真っ赤になって、お母さんが、
『赤く、』
「思い出させてごめん。麻酔のせいで思考が鈍ってたんだと思う」
『おかあさ、あれ、え？』
「(まずいな、錯乱してる)」
ずっと話してたけど無反応で、やっと反応くれて嬉しくて。
「おかえり」って言ってくれたんだ。久しぶりにお母さんに名前呼ばれた。
そのあとお母さんなんでか謝ってて、目の前が真っ赤になって、赤が透けた向こうでお母さんの頭がなくなってた。
それがすごく嫌でお母さんのところに行きたくて、ガラスを壊そうとしてた。
全部思い出した。そこから記憶が無いからきっとホークスが止めてくれたんだ。
麻酔って言ってたし、ここホークスの事務所だ。
そっか、
『......お母さん、またしんじゃったのか』
「！」
『ホークス、オール・フォー・ワンは何て言ってました？』
「今は言わないよ。落ち着いたら話すから。Aちゃん、俺の目、見れる？」
『はい』
ホークスの手が頬に添えられて、目が合った。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
