百二十二歩目。 ページ23
―Aside―
ホークス事務所に到着後、サイドキックのみなさんに挨拶して基本的な活動内容の説明を受けた。
表上ホークスが私を指名したのは神野事件の時に興味を持ったからとされてる。自由な彼だからこんな理由でも許されてるんだろう。
実際、カラスくんを指名したのも「鳥仲間」って理由が含まれてるらしい。安直だ。
私はインターン生としてホークス事務所にお世話になる訳だからヒーロー活動にも参加する。
初日からさっそくパトロールに出てホークスに付いて行ったのは良いんだけど、
『仕事させる気あります？』
「Aちゃんが俺より早く動けば良いんだよ」
『無理って分かってて言ってますよねそれ。命が掛かってるので私を置いて仕事してもらうのは全然構わないんですけど、貴方を追いかけるのが精一杯なのが悔しいです』
「ちゃんと不満に思ってるみたいで安心したよ。明日からも頑張ってね〜」
『ホークス、腹立つ顔してるってよく言われません？』
「言われません。何気にめっちゃ失礼なこと言うよね、傷付くぅ」
"最速の男"って二つ名は伊達じゃないね。事件発生からの解決速度がえげつなかった。
【剛翼】の羽数多いし精度高すぎるし、福岡の事件は全部ホークスが片付けてるんじゃないのかってくらい。さすがに誇張した言い方だけどね。
No.3だからすごいのは知ってるつもりだったけど、百聞は一見に如かずってやつだ。実際に見るとそのすごさに感心する。
この胡散臭い笑顔と飄々とした態度さえなければな。手放しで尊敬できるのに。
「そういえば、俺Aちゃんのヒーロー名知らないんだけど、何？」
『ありません。ヒーローになるつもりがないので。本名で呼んでもらって大丈夫です』
「あ、そう。でも君にそのつもりがなくても君はヒーローになるでしょ。いずれ必要になるなら今のうちに考えとかない？俺も手伝うし」
『遠慮しときます。私が決めなくても公安が決めるでしょう、時間の無駄です』
これはちょっとした反抗期。卒業までの期間限定のだけど。
ヒーローになりたいと思ったことはない。だからヒーロー名は要らない。
神野の時に本名も顔もとっくにバレてるから今更気にしないし。
pipipipipi.
「あ、電話。誰から？」
『相澤先生からです。少し出ます』
ピッ
『はい、どうされました？』
[事件があってな、遮止の意見が聞きたい。今大丈夫か？]
『大丈夫です』
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
