百歩目。 ページ1
―Aside―
「あっ、Aさん！」
『百ちゃん！梅雨ちゃんと響香ちゃんにタコくんも！通過してたんだね、さすがだ〜』
「ええ、轟ちゃんもいるのよ。ところでAちゃん、その大きな袋は何かしら？」
『あぁ、ボールだよ。受験者から回収したやつ。これどこに返せばいーの？』
「あっちに返す場所があるの、ターゲットもそこで外せるわ」
『ありがと〜』
Ａ組通過者はまだ５人。残りの枠は２５名。思ったよりギリギリだ。
あのエリアに閉じ込めるよりみんなの方に行った方が良かったかな。
でも、みんななら大丈夫だと思うんだよなぁ。みんなは強いし協力して戦えるから。
先輩たちの連携も上手かった。でもやっぱり"個性"に頼ってる部分がある。
持ってる"個性"に自信があるからヒーロー目指してるんだろうなって思うくらいには、戦闘向きの"個性"ばかりだった。
馬鹿にしてるんじゃない。"個性"だってその人の一部にすぎないからね。
ただ、促したのが私でも、仲間割れ始めたのにはがっかりした。
私に敵わないと判断して、他のエリアの受験者を狙おうにも出られなくて、通過者の枠がどんどん埋まって行って、焦るよね。そうさせたの私だけど。
私の行動は、先輩方の未来を邪魔した。それは事実。
私を見る目、恐怖とか恨みとか諦めとかが混じってた。彼らにとって私は"何"に見えたんだろう。
《はい。えー、ここで一気に８名通過来ました。残席は１０名です》
一気に通過したな。Ａ組の子いるかな。あ、今入って来たのお茶子ちゃんたちだ。えっと、６人。
これでＡ組の通過者は１１人。残り９人で残席１０名。
やっぱり助けに行った方が良かった？守りに行くべきだった？
何が正解とか、分かんないな。どうすればいいのかなんてずっと考えてる。
みんなには自分の力でヒーローになってほしい。私が何かしなくたってみんなはヒーローになるけど、私はそうじゃないからな。
仮免だって受かるまで取らされるに決まってる。それならみんなと一緒に合格した方がいい。
今日の様子だってどうせ監視してるんだろう。公安の訓練なんか必要ないくらい私は雄英で力をつけてるって証明しないと。
今更心操くんやみんなと切り離されたら泣いて暴れる自信があるし全力で反抗してやる。
まぁ、仮免を合格したい一番の理由は未来さんと心操くんが褒めてくれるからだけど。
絶対褒めてくれるもん、確定演出。なら頑張るしかないでしょーよ。
私は見返りを求める女なのでね！
▽
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月6日 22時
