第六十五話 ページ34
麦「櫟……」
ビクッと肩を揺らし、恐る恐ると言った感じで起き上がり、涙を溜めてゆらゆらと瞳をさせ目を見てくれる。
私も真剣な気持ちを顔に出し言葉を紡ぐ
麦「櫟……貴方とは付き合えない」
ぐっ、と顔を歪める櫟を瞳に捉え続ける。
麦「ごめんなさい、ありがとう…」
嬉しかった。そう言うと櫟は「解った、けど、俺はあの鬼を認めた訳じゃない」と言って店を出て行った。
おばちゃん「お待たせしました」
コトリ、と今まで櫟が座っていた位置に葛餅を置かれ解釈する。置かれた葛餅を口にする気になれず
櫟を振った罪悪感なる物が込み上げて、俯いてしまう。
麦「ぅっ…く、ひく……」
自然と目の奥のがあつくなり、涙が零れる。
いつの間にかお客さんも帰り、おばちゃん達も厨房の中に入っていて、私一人だけの空間になっていた。
麦「ほぉ…ずき…」
無性に会いたくなってつい、その名を口にしてしまった…
鬼「呼びましたか…?麦…」
会いたい。そう思った時に会いに来てくれる。嬉しい様な、驚いた様な、そんな気持ちを伝えたい。けど、照れ臭くって、皮肉を言ってしまう。
麦「もぅ、仕事はどうしたの」
鬼「大王に押し付けて来ました、麦に会いたくなったので」
麦「鬼灯…」
ふわっ、と抱き着き、逞しい少し煙草の匂いがする胸元の着物に顔を埋める、何も言わずに抱き締め返してくれる。
麦、鬼「「大好きだよ/ですよ」」
その後恋人繋ぎをして閻魔殿に帰った。
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櫟「麦御を泣かせたら、許さない。鬼灯……俺に認めさせてみろ」
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作者名:sunijy | 作成日時:2016年9月8日 22時