【名探偵コナン】I can do 3【服部平次】

あったかい ページ26

「…へ、いじ」


あれから結局。


他愛もない話をして、嫌いな薬を無理矢理飲まされて。


気付いたら眠っていた。


目を覚ました時には窓の外は薄暗くなっていて。


「もう夕方やん…最悪な祝日の使い方してしもた…」


貴重な、そして何より、事件も何もない平和な祝日を風邪で潰してしまうとは何たる不覚。


盛大な溜息と同時に寝返りを打とうと、Aは体を捩らせた。


「…うわ、」


体に掛かるのは布団の重み、それから、


「めっちゃ重い布団増えてるやん」


大好きな、彼の温もり。


Aの体はしっかりと抱き締められており、寝返りすらも許されない。


「風邪移っても知らんでー…って寝てるわな」


小さく息を吐きながらも、心地良さそうに寝息を立てる平次の髪を撫でてやる。


「…そんな眠いんやったら、家で寝とったら良かったのに」


クスクスと笑みを浮かべ、ゆっくりと顔を近付ければ、彼女は頬へと唇を寄せた。


「ありがとう、ホンマは来てくれた時、めっちゃ嬉しかってんで？」


今だから言える、素直な気持ち。


「…だいすき、平次」


その言葉の直後、ピクリと動く肩。


平次の寝息が少し乱れたことには気付かなかったことにしようと、Aは再び瞼を閉じる。


平次が目を開けるまで、後数秒。

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