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発熱 ページ25

「ヨーグルトにプリン、ほんでからのど飴。どや、完璧やろ」


勝手に鍵を開け、部屋へと上がり込んだ彼は、コンビニの袋から得意気にそれらを取り出す。


だがAは何の反応も示さない。


「何や?俺が完璧すぎて言葉も出んか?」


「………」


「Aはーん?どないしたん?」


目の前でヒラヒラと手を振ってやれば、鈍い音と同時に平次は床へと突っ伏した。


「…んの、阿呆!学校は!授業は!」


「…っ、痛…めっちゃ元気やん!誰が病人やて?!」


「今質問してるんは私や。ちゃんと答えて貰わんともう一発行くで?」


「な、何そんな怒っとんねん」


「当たり前やろ!授業サボって来られても嬉しないっちゅうねん!」


もう一度時計を見る。


やはり、まだ授業中のはずだ。


Aは何も答えない平次をきつく睨みつけた。


後々尻拭いをさせられるのは間違いなく自分であることは身を持って経験済みだ。


「…お前な、カレンダー良う見てみ。今日何日や」


後頭部を押さえ眉を寄せながら、平次はどこか不満気にカレンダーを指差す。


「今日何日やて…そんなんわからんくなるほど阿呆ちゃう………え?」


同じようにカレンダーへと視線をやれば、くっきりと赤文字で記された文字。


「ふ、振替休日…?」


「…そう書いてるやろ、阿呆」


「き、聞いてへん!そんなん知らん!」


「何のためのカレンダーやねん」


納得がいかないと言わんばかりにカレンダーを凝視するA。


「こんなちっさい字で書かれても…」


まだ認めたくないのか、反論の言葉を口にした時、不意に出来た影。


嫌な予感と共に視線を戻せば、平次のどアップ。


「人が折角心配して来たった言うのに殴り飛ばす言うんはちょっと酷いんちゃいますか?」


「あ、えっと…それは、ごめ」


「ごめんで済んだら警察はいらん、俺のオトン仕事なくなってまうわ」


引き寄せられる体、近付く二人の距離。


「ちょ、平、…!」


額に、唇の感触。


「治ったら覚悟しとけ、今はそれで我慢したる」


「…アカン、熱上がったわ」

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- 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。。。 またNGワードに引っかかってしまったので○表記にさせていただきました。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
- ままたまた続けてのコメントですみません。。。 2枚のチケットのここの台詞 「 ○○−○−に困ってます、助けてください、を身代わりになって秒○する女嫌やわ」 ここの、助けてください、の後って何か入るのでしょうか? (2023年4月11日 0時) (レス) @page32 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
- また続けてのコメントですみません。。。 NGワードに引っかかってしまったので○にさせていただきました。 すみません。。。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
- また続けてのコメントですみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 平和とはのここの台詞 「警察呼んだらこの女○すで!ええから大人しい言うこと聞け!」 これ正しくはええから大人しくではないんでしょうか? (2023年4月11日 0時) (レス) @page28 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rei | 作成日時:2020年3月19日 3時

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