【名探偵コナン】I can do 3【服部平次】

光と薫 ページ16

「薫は俺の子ちゃうんやろ」


男が静かに言う。


薫と呼ばれた子供に訳などわかる訳もなく、目を丸くしていた。


「何言うて、」


「聞いたんや、お前がそう喋ってるんを」


予想外の内容に黙って見つめるしか出来ない三人。


だが、Aは何かを考えているようで。


「光…薫…この名前どっかで…」


「名前？」


「…思い出した、…お姉さん、源氏物語ってお好きですか？」


一人で自己完結し口を開く。


「え？ああ、めっちゃ好きですよ？この子の名前の薫も、源氏物語から取ったくらいで…」


「やっぱり」


「やっぱりって何か分かっ…ああ、」


「源氏物語の登場人物か」


納得したように平次とコナンは頷いた。


「最近その話、誰かとしませんでした？」


「最近？…三日前に母親と話したかなぁ。薫は光源氏の子やない言うて…」


「光源氏って言ってないでしょ？」


「恐らく、あんたは光、言うてもうたんや。ほんでたまたまそれを耳にした旦那が勘違いしたっちゅう訳やな」


その言葉に夫婦は顔を見合せる。


「ホンマに俺の勘違いなんか？」


「せやから、さっきからそう言うてるやん」


クスクスと笑みが零れた。


「一件落着、やな」


「誘拐でも捨て子でもなかったってことだね」


「安心したわ」


「すんません、お世話かけました」


夫婦は軽く頭を下げ、子供を抱き上げれば、ヒラヒラと手を振りながら踵を返す。


その姿を見送れば、三人は小さく息をついた。


「よっしゃ、お好み焼き食いに行くか」


「せやな、大分遅なってもうたけど…行こ、コナンくん」


「うん！」

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