50.烏野のセッターは二人 ページ50
試合開始早々からの、及川と岩泉による強烈な猛攻で押され気味だった烏野高校だが、影山の意表をついたツーアタックでなんとか流れを切った。
その後はシーソーゲームで進むかのように見えたが、日向の普通の速攻が決まった瞬間の青葉城西の突然のタイムアウト要求で、日向と影山の速攻の合図がバレたのだと悟った。
そこからは青葉城西の勢いに押され、影山に焦りが生まれたことで、烏野の攻撃のテンポが崩れる。
「押し合いだ！」
「「！」」
『影山くん…っ！』
田中が返したボールがネットギリギリだったため、及川と影山のネット際の押し合いが起こったが、影山の力を利用して烏野コートに押し返した及川に軍配が上がった。
押し合いに負け、バランスを崩しながら床に倒れ込んだ影山の姿に、胸の前でぎゅっと手を握りしめる。
彼のあんなに苦しそうな姿を見たのは、影山と出会ったあの日の決勝戦以来かもしれない。
『やっぱり、中学時代のこと…まだ』
「あ、セッター変わるぞ」
『影山くん…』
「大丈夫だ、きっと。ほら見てみ？」
『日向くん…、そうですよね。きっと彼らなら大丈夫』
アップゾーンで日向と何かを話している影山の姿を見て、自分に言い聞かせるように呟く。
日向に何か声をかけられた影山は、すっかり焦りは消えだいぶ落ち着いたように見えた。
セッターが菅原に変わった烏野は空気がガラッと変わった。
月島と日向によるブロックポイントも全て菅原の指示によるもので、3連続でゲットしたポイントこそが、菅原が外から見ていた時間も無駄ではなかったと言うことの証明となっていた。
『菅原先輩、すごい』
「あぁ、意外とやるなあの兄ちゃん」
『はい、烏野には優秀なセッターが二人いるんです』
最後こそ日向のブロックアウトで第1セットを落としたものの、流れは確実に烏野に来ている。
第2セットも今の勢いのままメンバーを変えずに行くことを決めた鵜養の判断は間違いではないと思う。だが、影山のことが少し心配になってしまう。
きっと大丈夫だと思ってはいても、何か彼に声をかけなければと頭より先に体が動いてしまい、フェンスから身を乗り出して叫んでいた。
『影山くん！』
「…っ、Aさん」
『見てるから。私は、昔も今も影山くんを応援してるから！』
「オス！」
しっかりと目を見て頷いてくれた影山の目には、完全に迷いも焦りもなかった。
ー ﾋﾟｰｯ
「しゃ、行くぞ！！」
「「オオッ」」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします！またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (
レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
累 - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました！更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています！！ (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです！更新頑張ってくださいね！ (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります！ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るき | 作成日時：2024年3月12日 21時
