【HQ】恋は盲目【影山飛雄】

47.テレビ ページ47

「…静かですねぇ」

帰りのバスの車内は、行きとは打って変わってとても静かだった。
皆の寝息だけが響く車内で、今日の試合の激しさを改めて実感する。

『みんな、よく眠ってますね』
「2試合したしな、どっちもストレートで勝ったからまだマシだけど」
『でも、勝てば勝つほど相手は強くなっていくんですよね』
「ああ、毎回気合い入れ直さねぇとな」
「…さて、そろそろ皆を起こさないと」
『気持ちよさそうに寝てるので、もう少し寝かせてあげたい気はしますけど』
「仕方ないね、Aちゃん起こそうか」
『はい』

学校の校門が見えたところで、みんな起きてと眠っていた部員を申し訳なく思いながらも声をかけて起こしていく。
気持ちよく寝ていたところを起こされ、寝ぼけ眼で何処か不満そうな様子が漂っている。

『はい月島くんも起きて』
「…もう起きてる」
『美少女に起こされたんだからもうちょっと嬉しそうにしてよ』
「…はぁ」
「武田せんせ〜、バレー部がテレビに映ってますよーっ」
「「テレビ！！？」」

さっきまで起こされて不満げな顔をしていた皆だったが、先生からの声で一気に意識が覚醒したようで、駐車と同時に我先にと職員室のテレビに一目散にかけていく。
疲れて寝ていたのに、元気だなぁとその後ろ姿を見ながら思わず笑ってしまう。

「ローカルニュースじゃないですか」
「月島うるせぇ！テレビはテレビだ！！」
「あっ！Aさんだっ！！」
「このカメラマンAちゃん映す気満々だっただろ」
『私左側からの方が可愛いんだけどな〜…』
「どっちからでも変わらないでしょ」
『どっちからでも可愛いってこと？』
「自信過剰」
『ひどい！』
「ツッキー！！Aさんはいつでも可愛いから！ねっ！大丈夫！」
「そうそう、Aちゃんはいつも可愛いべ」
「観客席より試合を映せよな！」
「Aブロック青葉城西ばっかじゃねぇかよ！」

ーそして明日、この青葉城西に挑むのが古豪 烏野高校です

「映るぞ！！」
「え…」

いよいよ映るかと思ったところで、

ーここで及川選手に、明日の3回戦の相手烏野高校の印象を聞いてみました！
ーいいチームですよね、全力で当たって砕けて欲しいですネ！

「「…」」
「ぼ、冒頭には一瞬試合シーンが映ってたよ！皆かっこよかったよ！？」
「…先生、ありがとうございました」
「あっ、いや…」
「よーし、それじゃあ。…やるか」
「何を！？」
「ミッ、ミーティングですよ！先生安心してください！」

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