【HQ】恋は盲目【影山飛雄】

43.道を切り開け ページ43

少しだけ練習に付き合ってほしいという影山と日向に付き添って、体育館の外に出てきた。
あーだこーだ言いながらもトス練習をする二人に「ほどほどにね」と声をかけながらも微笑ましく見守る。

「次、あの眉なしの居る“鉄壁”高校だな！」
「伊達工業な」
「わかってるし！」
『…前に、旭さんがバレー部を離れる原因になった、ある試合で“潰された”って伊達工業なのかな』
「！」

ミーティングの時から、伊達工業という名前が出るたびに先輩たちの顔が曇るのを感じていた。
そんなふとした疑問を口に出した瞬間、ボールをキャッチしてトス練習が中断される。

「俺もそうだと思う。多分、伊達校に負けたっていう3月の試合が、東峰さんが部を離れた原因だ」
「旭さんが…！？」
『データも見たし、何試合分か過去の映像も見たけど、サーブで崩してリードブロックで叩き潰すっていう完成されたブロックシステムだった。あれに捕まったらスパイカーの心が折れるのもわかる…』
「眉なし含め、めっちゃデカかったもんな」
「ビビってんじゃねぇぞ」
「ビビってねぇよ！！」
『試合前だから、手を出す喧嘩はやめなねー』
「おっ、3人ともここにいたのか！」
「「！」」

突然かけられた声に、3人とも驚きで肩が跳ねる。
声の方向にバッと顔を向けると、よく見知った先輩の姿があった。

『菅原先輩？』
「ちょっと良いか」
「「？」」
「よろしく頼む」
『へ？』
「「…」」

なんの脈略もなく目の前に現れたかと思えば、勢いよく頭を下げる菅原の姿に、思わずぽかーんと口が開いてしまう。

「伊達工業は強敵だ。３ヶ月前はあの“鉄壁”のブロックにこてんぱんにやられた」
「…」
「でも今は、“最強の囮”がいる」
「！」
「…日向の前の道を切り開いたみたいに、旭の…エースの前の道も切り開いてくれ！」
「「…はい！」」

そして、第2回戦 烏野高校対伊達工業高校が始まる。

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