41.1回戦 ページ41
「いいじゃん連絡先だけでもさ!」
『結構です…』
「俺らは結構じゃないんだって!」
バレーボールをやっている男というのはボールを落とさないように粘るスポーツだから、この人たちもこんなに粘るのだろうか。
「わ〜!Aちゃんだ!」
『及川さん!』
「青城の及川だ…」
「なんで及川が?」
「今日もかっわいいね!ってか君らさ、その顔でAちゃんナンパしようなんて…ププっ」
「遊びに来てんじゃねぇんだぞ、散れ」
「…っ!行こうぜ!!」
「お、おうっ!」
及川さんの俺イケメンパワーと岩泉さんの一言で、しつこかった二人組は撤退。
「危なかったねAちゃん、ってかここで出会うなんてやっぱり俺ら運命じゃない?」
「烏野の試合見に来てんだから当たり前だろ」
『お二人とも、助けていただいてありがとうございました』
「Aちゃんはこっちで観戦なんだ」
『はい、試合には潔子先輩が記録員で入るので』
「え〜、じゃあ一緒に見ようよ!及川さんが解説してあげちゃうよ」
『いや、でも…』
「さっきみてぇなのは危ねぇから、近くにいた方がいいと思うぞ」
『ありがとうございます岩泉さん』
「おう」
「待って俺スルー!?酷くない?なんなのさ!」
常波との第一試合は、危なげなく2対0のストレートで勝利した。
大会規定上、マネージャーは1名しかベンチに入ることができない。だから私は、観客席で静かに彼らの試合を祈るようにして見ていた。
始まる前はなんだかんだちょっかいをかけてきては岩泉に殴られていた及川も、試合が始まってからは静かにプレーに集中していたように思う。
決して難しい試合ではなかっただろう、しかし全員が本気で挑んでいることが伝わってきた。
ーピッピー
「泣いてる」
『え…」
「Aちゃんにこんなに必死に応援されて、トビオが羨ましいねぇ〜」
「ほら、ティッシュ使うか」
『あ、すみません。初めての公式戦だったので…』
試合終了のホイッスルが鳴り、気づいた時には頬に涙が伝っていた。
正直、及川にそれを指摘されるまで自分が泣いていることにも気付かず、そのくらい試合に没入していた。
『なんか、見ているだけで何もできないのって…苦しいですね』
「応援が力になることだってある、応援で背中押してやんのもマネの仕事だ」
『…はい』
「ほら、皆のとこ行ってあげなよ」
『ありがとうございました!』
「変な男には気をつけるんだよ、声をかけてくるヤツは皆クソだからね!」
「お前がいうな」
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るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします!またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
累 - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています!! (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです!更新頑張ってくださいね! (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります!ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るき | 作成日時:2024年3月12日 21時