【HQ】恋は盲目【影山飛雄】

29.たくさん食べて ページ29

『じゃーん！今日は中華だよ！』
「「いっただきまーす！！」」

勢いよく食べ始めた皆の様子に、うん今日もいい食べっぷりだと笑顔が溢れる。
…のだが、いつもと様子が違うメンバーが二人ほどいる。

「「はーっ…」」
『え、何その顔。月島くんと山口くん中華料理嫌い？』
「そういうわけじゃないんだけど…」
「練習後にコレは重すぎるでしょ」

せっかく清水と一生懸命作ったというのに、その料理たちを前にしてこんなに嫌そうな顔をされると正直なところ気分は良くない。

『なんでよ、私が腕によりをかけた青椒肉絲美味しいよ？』
「この青椒肉絲めっちゃ美味いです！Aさん天才！！」
『わー嬉しい！日向くんたくさん食べてね！』
「どっから来んのその食欲…」
「おえ…」
『ぇ、山口くん体調悪い？なんか別のもの作る？デザート用のゼリーもあるよ？』

呆れながらも渋々といった様子で少しずつ食べ始めた月島に対し、口元を抑え、今にも吐きそうな山口の様子に流石に心配になってくる。

「おい食え！無理矢理でも食え！！この時期からそんなんで真夏どうすんだお前ら！干からびて死ぬぞ！！」
「山口食わねーの！？もらっていい？」
「コラ！ちゃんと山口に食わせろ！！」
「今日はよく食うなスガ」
「ほぉ？清水とAさんの料理美味いし。それに、いっぱい食って頑張んないとね」
「そうだな」
「Aさんご飯おかわりー！！」
『はーい！あ、影山くんもおかわりいる？』
「…あざす」
『うんっ、たくさん食べてね』

こうしてGW合宿はまた1日と過ぎていくのだった。
そして、翌練習日。

「Aちゃん、一つお願いしてもいいかな」
『潔子先輩、なんでもどうぞ！』
「これなんだけど」

清水に渡された袋の中には、お揃いの真っ黒な服が何着も入っていた。

『これ、…ユニフォーム！』
「うん、クリーニングに持っていってくれる？」
『はいっ！』

このユニフォームを着て、皆がコートに並ぶのかと想像するだけでワクワクする。
実際に2日後にある、音駒高校との練習試合が今から楽しみだ。

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