【HQ】恋は盲目【影山飛雄】

28.やっぱり格好いい ページ28

帰宅する清水と悲しみながらお別れをし、明日も早いということでお風呂へ向かった。
一人で入る合宿所のお風呂は広く、寂しい気持ちはありながらも、こんな機会は滅多にないと全力で楽しませてもらった。

『お風呂上がりはぐんぐんヨーグルだよね〜』

広い大浴場を満喫し、るんるん気分で自販機に向かいながら角を曲がったところ、自販機前で思いもよらない人物と遭遇をした。

『あ』
「あ」

まさか、お風呂上がりの影山に遭遇するなんて、こんなラッキーイベントあって良いのだろうか。少し濡れた髪に首からかけられたタオル、影山はお風呂上がりでもとにかく格好がいい。なんなら彼の顔の周りにキラキラとしたエフェクトすら見える。

しかし、自分自身もがっつりお風呂上がりなのが恥ずかしい。Tシャツにスウェット、そしてヘアバンドで全て上がった前髪。神様なぜ今なのか、せっかくならば完璧に可愛い状態で好きな人には会いたいのに。

「…おつかれっス」
『あ、うん！影山くんも今日一日お疲れ様！あの、夜ご飯、美味しかった…？』
「普通に美味かったっす」
『…カレーは好き？』
「一番好きな食べ物がカレーですね。ポークカレーに温玉のせて食べるのが好きっす」
『ポークカレー温玉のせね、オッケー覚えた』

会話を途切れさせたくなくて思わず聞いてしまった「カレー好き？」だったが、予想外に彼の好物を聞き出せたので結果オーライだ。次に振る舞う機会があればポークカレー温玉のせにしようと心に決めた。

『あっ！？ぐんぐんヨーグル好きなんだね、一緒！』
「？」

手に持っているぐんぐんヨーグルを見て、ちょうど自分か買いに来たものと一緒だったことに運命を感じてしまう。
好きな人とは、どんなものでも一緒ということがこんなにも嬉しいことなのか。今まで馬鹿にしてきた世の中のなんでもお揃いにしたがるカップルに心から謝罪をしようと思う。

「あぁ、いや。…あの日」
『あの日？』
「Aさんにもらってから、なんかこう…飲むようになりました。今は結構好きっす」
『…そっか。へへ、なんか嬉しい』
「…っ、じゃ」
『あ！影山くんおやすみ！』
「…おやすみ」

影山の好きというカテゴリの中に、自分発信のものがあるというだけで、人間はこんなにも幸せな気分になるのか。
そして本日何度再確認したかわからないが、やっぱり影山は格好いい。

29.たくさん食べて→←27.GW合宿スタート

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す