24.嫉妬心 ページ24
「すごい…!1ヶ月ぶりのはずなのに!」
「お前ブロックの時の手の出し方が悪い!止めるつもりならこう!!」
「…」
「聞いてんのか!こうだ!!…おい」
「エース、スッゲェな!ブロック居てもいなくてもあんな風にぶち抜けたら関係ないもんな!」
「…」
「な、なんだよ?」
「別に」
「?」
そこからすぐに始まった2セット目。
何回かのラリーが続いていたが、日向の様子がいつもと違う。
『日向くん危ない!』
「!?ばっ…」
「えっ」
東峰の打ったボールは、聞いたこともないくらいのすごい音を立てて日向の顔面に当たった。
その瞬間はまるでスローモーションかのように、後ろに吹っ飛んでいく日向。
「「日向!!」」
「う〜〜っ」
「大丈夫か!」
「大丈夫か!?ごめんなぁあああ」
「どう考えてもボケッとしてるこいつが悪いでしょ」
「きゅ、きゅ、救急、きゅ」
「先生落ち着け」
『アイスノン!日向くん冷やして!!!』
「あ、ありがとAさん…みんなスミマセン、大丈夫ですっ」
額に当てたアイスノンをしっかり掴んで自分で当てられているので、意識はしっかりしているようでホッとする。
交通事故に遭ったかのように吹っ飛ぶ直前、バレーボールの試合中の日向にしては珍しく、心ここに在らずというような印象だった。
「何ボケェっとしてた…試合中に」
「あっ、う…あ〜」
「…俺は知ってるぞ」
「!?」
「“エースはかっこいいけど、自分の一番の武器が囮なんて格好悪い。自分に東峰さんみたいなタッパとパワーがあればエースになれるのに”」
「えっ」
「そ、そんなこと思ってない!…くも、ない…けど」
「エースがいるって分かってから、憧れの他に嫉妬してたろ」
「!」
『日向くんが、…嫉妬』
いつだってまっすぐで裏表のない子だと思っていた日向が“嫉妬心”を持っているなんて意外だ。
そして、そのことに気づいたのが影山という事にも驚きを隠せない。
「試合中に余計なことなんて考えてんじゃねーよ」
「…もともとでっかいお前になんか、絶対わかんないんだよ!!!」
「お前…っ」
『ちょっと、二人とも落ち着こう。ね?』
「こらーバレー部、そろそろ終了の時間だぞー」
さらにヒートアップしてしまいそうだった二人の間に割って入り、静止を促したところにタイミングよく見回りの用務員さんがやってきた。
ギスギスした空気ではあるが、武田先生がもう少しだけ延長してほしい旨を交渉し、このゲームが終わるまでは続けさせてもらえることになった。
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るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします!またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
累 - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています!! (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです!更新頑張ってくださいね! (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります!ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るき | 作成日時:2024年3月12日 21時