23.もう一回トスを ページ23
「…っ」
「!」
「スガさん!?」
「…俺に譲るとかじゃないですよね」
「…」
「菅原さんが退いて俺が繰り上げ…みたいの、ゴメンですよ」
「…俺は、影山が入ってきて、正セッター争いしてやるって思う反面どっかで、…ほっとしてた気がする」
『菅原先輩…』
「セッターはチームの軸だ、一番頑丈でなくちゃいけない、でも俺は…トスを上げることにビビってた」
「…」
「俺のトスでまたスパイカーが何度もブロックに捕まるのが恐くて、圧倒的な実力の影山の陰に隠れて、安心…してたんだ!」
みんながみんな、日向のように自信を持って、どんなことがあってもバレーを好きだと言い切れるほど強いわけじゃない。
悩んで、苦しんで、辛い思いをしてもなお、各々が感じるたった一瞬の楽しい瞬間、気持ちがいい瞬間が忘れられず、バレーを追い求めるのだろう。
「…スパイクがブロックに捕まる瞬間考えると、今も恐い。けど、もう一回俺にトスあげさせてくれ旭」
「…っ」
「…だから、俺はこっちに入るよ影山」
「!」
「負けないからな」
「俺もっス」
影山にそう告げた菅原の表情は、どこか晴れ晴れとしていた。
そんななか、「Aさーん!」と叫びながら嬉しそうにこちらに走ってくる日向の様子に、わかりやすいなぁと笑みが溢れる。
「Aさん!旭さんきた!!」
『ほらね、日向くんの言葉ちゃんと届いてた』
「Aさんが殴り込みに行くしかないって言ってくれたおかげ!ありがと!」
『あはっ、あれは半分冗談みたいなところもあったんだけど…』
「日向に3年の教室まで殴り込みに行けって言ったの?A野蛮ダネー」
「おう!アドバイスをもらった!」
『待って、誤解を生むからやめて』
「よーしっ!エースと対決だ…っ!」
「落ち着け!」
そして始まった烏野町内会チームとの試合は、白熱した内容だった。
西谷のスーパーセーブ、諦めずにエースに上げ続けた菅原のトス、そして全力でブロックを打ち抜いたエースのアタック。ほんの少し前まであんなにわだかまりがあった3人だったが、まるでそんな期間なんてなかったかのようにように息の合った連携をみせていた。
その様子に触発されたかのように、烏野高校チームもギアを上げていき、試合は取ってとられてのシーソーゲーム状態となっていた。
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るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします!またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
累 - めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています!! (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
狛 - 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです!更新頑張ってくださいね! (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります!ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るき | 作成日時:2024年3月12日 21時