43 ページ44
sn「はい、みんなお帰り〜どうだった？快適なタクシー移動は」
『うん…良かったよ…平衡感覚が無くなるぐらい…』
ぺ神のある意味素晴らしい程の安全運転のおかげで無事に帰って来れた僕等の城。
一人、三半規管が悲鳴をあげているけれどみんなは全然平気な様でゾムとシャオロンは降りてから直ぐに内ゲバを始めてる。
うへぇ…当分乗り物に乗らなくて良いや…
ふらふらと覚束ない足取りで元の自分の部屋に戻ろうとぺ神の前を横切ろうとすると呼びかけられたので足が止まる。
振り向いて返事をしようとするとさっき迄緊張だのなんだので感じて無かった殴られた痛みが走ったので頭を押さえるとすぐに医務室に直行された。
sn「A？なんで黙ってたのかな？言ってくれたらちゃんと運転したのに」
『いや、ぺ神黙ってた訳じゃなくて…ってやっぱりあの運転ふざけてたよね？横揺れ凄かったよ…』
sn「A」
『はい、ごめんなさい』
毎度の事、圧のある笑顔に負けてすぐに謝る。するとぺ神は「分かれば宜しい」と手当てをしてくれる。相変わらず手当ては直ぐに終わっていつの間にか二人でティーブレイクをしていた。
ぺ神にあの時疑問に思ったゲリラ開催のトマティーナって何かを聞こうとするとグルッペンから通信が入ったので総統室に向かう。
『グルッペン、用事って何？』
グルッペンは真面目な表情のまま椅子から立ち上がると、手のひらサイズの袋を取り出して僕に見せた。それを見て息を飲むのと同時に体がぐらりと揺れた気がした。
なんで…なんでそれがグルッペンの手元にあるの？なかった筈なのに…
それはなくしていた筈のラペルピン。それも3等分ぐらいにバラバラにされて銀細工の部分の「W」の意匠は見る影もない。
gr「これはあの女の別荘で見つかった。話によると一回目の襲撃の時に回収したとの事だったが…A、何故黙っていた？」
僕を見るグルッペンの瞳はまるで鷹の様に鋭く、その佇まいは有無を言わせない何かがあった。
それを見てもう隠し通すのは無理だと思って躊躇う心もあったけどどうにか捻り出す様に声を出す。
『ごめん…なさい。だってグルッペンに、友達に貰った物を無くしたって言ったら、きっとグルッペンは僕の事幻滅しちゃうって思って…だから自分だけで、解決しようと…あれ？』
俯いて、支離滅裂だけど話していると突然視界が歪んでカーペットに2、3滴の水が落ちた。続けてダムが崩壊する様に目から涙が出るのが止まらない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 335人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水龍(プロフ) - 月歩さん» 了解です！ (2020年3月1日 19時) (
レス) id: 04e8b3ba29 (このIDを非表示/違反報告)
月歩 - くずをさん» ありがとうございます！応援して貰える分もっと頑張れます！これからもよろしくお願いします！！！ (2020年2月25日 4時) (レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
くずを - 初見失礼します！あなたの小説面白くて大好きですこれからも応援してます！ (2020年2月24日 23時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
月歩 - 本当ですか！そう言って貰えて嬉しいです！！！ (2020年2月24日 9時) (レス) id: 55b2340671 (このIDを非表示/違反報告)
夏夜空 - 面白すぎますこんな事思い付かないです！ (2020年2月24日 9時) (レス) id: 62e5250950 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月歩 | 作成日時：2020年2月22日 21時
