革命都市の夜に。

# 18 ページ19

視線の先は2人。男2つ。

「あんたらだろ、連続誘拐事件の犯人。皆はどこにいるんだ」

銀の髪は僅かに揺れる。

「あんたの能力は分かってるよ」

粘つく様な笑い方に悪寒を感じる前に、言葉は風に乗る。
右の男、黒いジャケット。銀の視線が黒を刺す。

「世界線の上に描写を重ねて別の世界を見せる。この革命都市に青い郵便局なんてある訳ない。お前の能力だろ。言うなれば…『象形変幻(しょうけいへんげん)』ってとこか」
「せいかぁい。よく分かったねぇ」

ゆるーりと、彼の口角が上がる。

「お前に褒められても一切嬉しくない。伊緒をどこにやった。皆をどこへやった」
「ぼく分かんなぁい。だってぼくBランクだもぉん」
「お前自分の言ってる事分かってんのか」
「だぁってぼく分かんないもぉん」

柚希、舌打ち。
うだうだしい。分かんないわけ無いだろこのやろ。やんのか。

「空間の狭間に押し潰されたい？」
「そうはさせらんねえんだなあ」

左の男、赤黒い髪。

「俺たち、それなりに強いからさ。君らみたいなかわいい女の子に殺されるわけには行かないんだよね」
「え、かわいい？」
「橘乗るな乗るな」
「うんかわいいよ。俺かわいい女の子大好き。だから教えてあげる」
「何をだよ」
「名前と能力」
「…随分サービス精神旺盛じゃん」

妙に纏わりつく風が降り立ち、彼は名乗る。

「俺は縣(アガタ)。能力が象形変幻なのは俺。よろしくね」

嫌に柔らかい笑みが、瞳孔に張り付く。

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